愛宕神社の修復完了 福島県浪江町大堀地区 13年ぶり復活喜ぶ
修復を終えた愛宕神社に約13年ぶりに集まり、交流する住民
2024/03/10 09:39
東日本大震災で被害を受け、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域となっている福島県浪江町大堀地区の愛宕神社の修復が完了した。9日、竣工(しゅんこう)祭が現地で催され、約13年ぶりに古里に集まった住民らが心のよりどころの復活と再会を喜んだ。
神社は江戸時代に建てられたとされ、大堀行政区が管理している。帰還困難区域内にあるが、除染が進み、一時立ち入りが許可されている。震災と原発事故発生前は伝統行事「陶祖祭」が開かれ、地元の伝統工芸品・大堀相馬焼の創始者の業績をたたえていた。
震災の強い揺れで本殿が傾き、鳥居も崩壊した。4年ほど前に区長だった半谷秀辰(ひでとき)さん(70)が「地域のシンボルを取り戻し、復興につなげよう」と住民代表らでつくる再建委員会を立ち上げた。
新たな鳥居を建て、本殿も改修した。住民が地域で暮らした歴史を伝える記念碑を新たに境内に設け、約2年前に工事を終えた。
竣工祭には県内外に避難している住民ら約50人が集まった。現区長の近藤公孝さん(69)らが玉串をささげ、地元の大堀芸能保存会が神楽を奉納した。
大堀地区は一部が1月に特定帰還居住区域となった。今後は除染や家屋解体など避難指示解除に向けた取り組みが進む。近藤さんは「神社に再び人が集まり、地域になりわいが戻ってほしい」と期待した。半谷さんは「皆さんの協力で神社が元通りになった。次の世代が後世に受け継いでほしい」と願っている。