震災・原子力災害伝承館の来場者が過去最高に 2023年度は9万3759人 福島県双葉町
香港から伝承館を訪れ、展示物を見学する李さん=3日午後
2024/04/04 10:23
東日本大震災・原子力災害伝承館(福島県双葉町)の2023(令和5)年度の来館者数は9万3759人となり、前年度を1万3640人(17%)上回り過去最多となった。被災地の復興の歩みを学ぶホープツーリズムが浸透しつつあるのに加え、新型コロナウイルスの行動制限撤廃に伴うインバウンド増加が要因とみている。今年度は展示物の解説文の多言語化を進め、海外からの受け入れ体制を強化する。
施設を運営する福島イノベーション・コースト構想推進機構が3日、発表した。伝承館の来館者数は【グラフ】の通り。9月に開館した初年度は4万3750人で、毎年度増加している。累計の来館者数は3月31日現在、27万5899人。
伝承館によると、行動制限の解除で2023年度は海外からの来館が特に増加した。アジアや欧州、南米など世界各地から個人・団体が毎日訪れているという。県のホープツーリズムで、学校、企業の見学も増えている。
3日も外国人が館内を見て回った。香港から訪ねた李啓楽(リ・ジョセフ)さん(31)は母国のニュースで福島の状況を知った。「被災地を何とか応援しようと思って来た。福島はまだ復興途上という現状を友人らに伝えたい」と述べた。
同館は今年度、展示物の解説文に英語や中国語、韓国語を導入する。伝承館の佐藤伸司企画事業部長は「外国人にも分かりやすい展示を心がけ、被災地に興味・関心を持ってもらえる工夫をしていく」としている。