第10回ふくしま産業賞 福島民報社奨励賞 共栄(福島県いわき市) バイオガス循環活用
食品ごみを原料にしたバイオマス発電システムを説明する担当者
2024/12/17 10:55
地元のスーパーや飲食店で排出される売れ残りや生ごみといった食品ごみを原料にしたバイオガス発電事業を手がけている。発電過程で排出される消化液を農業に再利用するなど地域で資源を循環させるよう取り組む。
バイオガス発電は食品ごみをメタン発酵させて生じたバイオガスを回収し、このガスを燃焼させて発電する仕組みだ。いわき市田人地区にある共栄バイオマスいわき南発電所は2017(平成29)年に完成した。建設は主に県内企業が担い、住民をパート雇用している。いわき市のマルト、イオンモールいわき小名浜、スパリゾートハワイアンズ、ヨークベニマルが食品ごみの提供に協力している。生み出した電力は東北電力に売電している。
バイオガスを取り出した後に消化液という物質が残る。これを肥料として地元の農家に無償で提供している。双葉町で行われている除染した農地の地力回復事業にも活用している。福島高専と消化液の浄化装置の開発を共同で進めている。
加賀屋正之社長(72)は「まだ発展途上の事業だ。取り組みを通じて脱炭素社会の実現や地域課題の解決を目指す」と話した。
■メモ
▽設立=1978(昭和53)年
▽社長=加賀屋正之
▽従業員数=34人
▽住所=いわき市小島町2丁目3の6
▽電話番号=0246(27)3300