中山間地域に医師、看護師派遣 福島県いわき市 困りごとなど聞き取り 住民に医療情報提供

 

住民の健康相談に応じる市医療センターの看護師(左)

 

2025/01/09 18:00

 

 福島県いわき市は中山間地域の医療の現状を把握しようと今年度、市医療センターの医師や看護師を派遣して健康に関する講義や相談を行う「おでかけ医療センター」を開いている。医師不足の影響が大きい中山間地域の住民に医療情報を提供しつつ、医療に関する困りごとを吸い上げて施策につなげたい考えだ。

 市内川前町の交流拠点「小さな拠点おおか」で12月24日に開かれたおでかけ医療センターには、高齢者を中心に住民約20人が集まった。市医療センターから新谷史明病院事業管理者をはじめ、看護師や栄養士、リハビリ担当者らが参加し、健康を維持する体操を教えたり、体調の不安を聞き取ったりしていた。

 川前町には医療機関がないため、住民は1時間近くかけて市内の都市部に出るか、小野町の病院に通院するなどしている。イベントに参加した木村セツコさん(74)は「自分も脳梗塞を経験したので、こうして医療のプロが出向いてくれるのはうれしい」と話す。

 市によると、2022(令和4)年の人口10万人当たりの医師数は182・8人。中核市平均の311・3人、全国平均の262・1人に比べて大幅に少ない。特に山間部の医療体制が脆弱(ぜいじゃく)で、公共交通機関の縮小の影響もあり対策が急務になっているという。

 市は「おでかけ医療センター」などを通じて中山間地域の住民が普段どのように医療にかかっているかや、医療に対してどんな要望があるかを調べている。センターの根本健男医事課長は「山間部の需要を把握し、今後の医療対策に役立てたい」と話した。

 

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