「ヤマニ書房本店」6月30日閉店 福島県いわき市内2店舗に経営資源集中

6月30日で閉店するヤマニ書房本店
2025/05/28 10:47
福島県いわき市平の中心市街地にある書店「ヤマニ書房本店」が6月30日に閉店することが27日、分かった。運営会社の平商事によると、電子書籍・ネット通販の普及や少子化の影響で売り上げが落ち、市内のラトブ店とイオンいわき店に経営資源を集中させる。市内でも随一の品ぞろえを誇っていた店舗の閉店に市民から惜しむ声が上がる。
ヤマニ書房は1950(昭和25)年、現在のJRいわき駅前で創業した。1991(平成3)年に平二町目の現住所に6階建てのビルを建設し、1階から3階まで本の売り場を設けた。専門書や教養書、郷土関係の書籍が充実していたが、近年は売り場を縮小し1階のみで営業していた。
閉店後は卓球場となる。本社機能はビルに残し、外商部も維持する。専門書や郷土関係の書籍はラトブ店で扱う方針。山田幸夫専務(73)は「歴史のある本店の閉店は断腸の思い。今後も2店舗を地域に根ざした書店として運営していきたい」と話した。
大熊町から車で1時間かけて足しげく通っている木幡ますみさん(69)は「昔からいろんな本をここで買ってきた。閉店はもったいない」と惜しんだ。郷土史の本を数多く執筆している、いわき地域学会代表幹事の夏井芳徳さん(65)=県文学賞審査委員、いわき市=は「いわきの文化の発信地とも言える場所だった。残る2店舗が伝統を受け継ぎ、活字文化を支えていってほしい」と期待した。