「精霊の木」3月1日 投光 福島県南相馬市の牧草地 鎮魂、再生の願い込め

 

精霊の木を眺める須藤さん

 

2026/02/22 10:44

 

 福島県南相馬市小高区摩辰地区の牧草地に、「精霊の木」と名付けられた1本の柿の木がたたずむ。命名されてから今年で10年。「精霊の木」が知られるきっかけとなったライトアップが3月1日に行われる。

 2017(平成29)年3月、東日本大震災の犠牲者の鎮魂と被災からの再生に願いを込める「光のモニュメント」が始まった。南相馬市原町区のシンボルだった原町無線塔をサーチライトの光で再現するイベントで、市内で飲食店を営む須藤栄治さん(53)が委員長を務める。

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域の設定が分かれた原町、鹿島、小高の各区を会場にして、絆を表現しようとした。小高区の会場を探していた須藤さんが、常磐自動車道を走行中、摩辰地区の整った農地を目にした。同地区は第2次世界大戦後に開拓された土地で、詩人高村光太郎の詩「開拓十周年」が刻まれた記念碑が建つ。近くの牧場には柿の木がりんとたたずみ、見る角度によってさまざまな表情をみせた。

 神秘的な姿にみせられた須藤さんは、開拓地に復興の思いを重ねた。柿の木を「精霊の木」と名付け、以来、光のモニュメント会場として投光を続けている。

 ライトアップされた幻想的な姿が広まり、写真愛好家らの人気スポットに育った。イベントも話題を呼び、会場は相双地方全域に広がった。「精霊の木の不思議な力を感じる」と須藤さんは語る。

 今年度の光のモニュメントは昨年11月から川内村で始まり、1日に精霊の木、11日に原町無線塔跡地の高見公園で締めくくられる。「これまでの10年は鎮魂と再生がメインだった。次は創造を目指したい」。須藤さんは会場となった相双地方を結ぶ物語の発信を目指している。

 

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