ポケふた探しで地域探検!福島応援ポケモン「ラッキー」に会いに行こう
動物図鑑には載っていない不思議な生き物「ポケットモンスター」、略してポケモン。
ポケモンとは、発売・株式会社ポケモン、販売・任天堂の携帯ゲームおよびそれらに登場する架空の生物の総称で、その人気はもはや世界規模です。
そんな大人気ポケモンの絵が描かれたマンホール蓋、「ポケふた」が日本全国で次々に発見されているのをご存知ですか?
株式会社ポケモンでは「ポケふた」の設置により、各地域の来訪客増を目指す取り組みを進めているのだそう。
1枚1枚がオリジナルデザイン、世界に1枚しか存在しない鋳物製の蓋で、どれも美しく色付けされています。
ポケモンに詳しくなくても探す楽しみ、デザインやその意図について考えることもちょっとしたレクリエーションになりそう。
福島県では、東日本大震災と福島第1原発事故からの復興を応援するキャラクター「ラッキー」がポイントによって違うポケモン仲間たちと共にデザインされ、いろんな場所で生き生きと活動する姿が描かれています。
ラッキーは幸せ(福)を運ぶと言われているポケモン。
ポケふた探しで福探しに出かけてみませんか??
■ 〜川内のポケふた〜
福島県川内村大字下川内字宮ノ下25-1 YO-TASHI前
福島県内に現存する、全てのポケふたを探して回るには時間が足りなかったので、順番も決めず立ち寄り先とマップを照らし合わせながら、可能な限り取りこぼしなく立ち寄ろうと決め、最初に訪れたのは川内村のポケふたスポット。
コンビニエンスストアやクリーニング店など、生活に密着した店舗が集まる複合商業施設「YO-TASHI」の敷地内にありました。
こちらはポケふた初心者にも大変わかりやすいところにあり、まずは1ヶ所目楽々ゲット。
探すという行動もポケふたの面白味なのでピンポイントでは説明しませんが、先んじて調べるとだいたいわかります。
ただし、あまり詳しく調べすぎない方が、見つけた時の喜びが大きいかも。
川内村は自然豊かで水も美しく、イワナなどの川魚が有名だからでしょうか。
こちらのポケふたに描かれているのは「ラッキー」「ヨワシ」「サシカマス」の3ポケモンです。
澄んだ川を伸び伸び泳ぐ「サシカマス」と「ヨワシ」を、綺麗な花が咲きほこる丘から「ラッキー」がにこやかに眺めています。
「ヨワシ」は小魚ポケモン、一匹では弱くても群れて敵に立ち向かう能力、「サシカマス」は雨の日は素早さがアップする能力を持ちます。
困った時もネガティブな事にも協力しあって立ち向かっていく勇気を象徴しているのかしら、なんて想像しつつ。
■ 〜いわきのポケふた〜
福島県いわき市四倉町五丁目218-1 道の駅よつくら港
いわき市は、映画「フラガール」の舞台としても有名な場所です。
フラガールの装いで嬉しそうな表情のラッキーが、キレイハナと一緒に踊っています。
モンステラや南国の花々に囲まれて笑顔全開のラッキーとキレイハナ。
キレイハナは踊るとき花びらがふれあい、心地よい音が鳴りひびくとのこと。
時折りキレイハナが集まって踊るような仕草を見せるのは太陽を呼ぶ儀式と言われるとの解説は、実際にそんな光景がありそうでワクワクしてきます。
いわき市は歩道にはヤシの木、気候も温暖で過ごしやすく「東北のハワイ」と呼ばれています。
東京から車で2時間弱とアクセスもよく、観光客が多く集まることも納得です。
また大型レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」や東北最大級の体験型水族館「アクアマリンふくしま」など魅力的な大型施設も多くあり、見どころも多く年齢問わず楽しめる賑わいあるエリアです。
よつくら港の道の駅で見つけたのは、そんないわき市にぴったりの麗しく愉しげなポケふたです。
■ 〜楢葉のポケふた〜
道の駅ならは
サッカー施設の「Jビレッジ」があるためでしょう、サッカーが得意なうさぎポケモン・ラビフットが描かれています。
ラビフットは手を使わず木の枝から木の実を取りリフティングしたり、足技の練習に余念がないポケモン。
もともと持っている力を日々の努力でさらに磨き、大きく発揮する場面に備えているのでしょう。
原発事故によって凄まじい苦悩ととてつもない苦労を背負いながらも、コツコツと復興の道を歩んできた道程と重ね思い浮かべます。
道の駅ならは入り口すぐに展示されている奇跡の金魚は、福島第1原発事故後に奇跡的に生き残った5匹の金魚・らんちゅう(金魚の一種)を手塩にかけて飼育し繁殖に成功した、奇跡の子らんちゅうだそうです。
絶望の中に見つけた5匹のらんちゅう達はまさに希望の光。
この奇跡をただ奇跡として終わらせず、諦めることなく立ち向かった不屈の精神が生み出した輝く命のループ。
復興と再生は、今を生きる者の為だけでなくこれからを生きていく人々の為に、安心と夢を持てる未来の為に!という情熱によって、地道に着実に叶えられていくものなのだと知らされました。
ラビフットの向上心が、この地と人々の今後に大きく期待するメッセージとして描かれたようにも感じます。
■ 〜浪江のポケふた〜
道の駅なみえ
道の駅なみえに設置されているポケふたには、海に漁船に大漁旗!水飛沫をあげる漁船に乗って出漁する勇ましいラッキーが描かれています。
東は太平洋、西は阿武隈山系の稜線まで延びる浪江町は、海・川・山とも身近で
自然豊かな町です。
実はポケモンの生みの親である田尻智さんのお父さまの出身地だそうで、田尻さんご自身も幼少期にはお父さまと一緒に浪江町をよく訪れていたとか。
そうそう、浪江といえば言わずと知れたご当地グルメ・浪江焼きそばですよね!
残念ながら訪問時間が遅かったためその場では食べられませんでしたが、お土産用に自宅にいながら浪江焼きそばがいただけるセットを購入。
特徴的なのはうどんのようなインパクトある極太麺。それに絡む濃厚なソース…まさに焼きそば界、B級グルメの王者の貫禄。
道の駅なみえは、ゼロからまちづくりをスタートさせた復興の象徴的存在。
「浪江町の魅力を五感を使って感じることができる」道の駅を起点に新しい浪江を発信、アップデートされていっているようでした。
福島応援ポケモン・ラッキーには「天の恵みのおかげで追加効果が出やすい」という特性がありますから、海の幸山の幸ともに豊富な町において、これ以上ない幸運をもたらす「ラッキー」な心強いポケモンと言えるでしょう。
■ 〜南相馬のポケふた〜
道の駅南相馬
道の駅南相馬に到着したのは小雨降る宵の口。
あたりは雨のせいもあってすっかり暗くなっていました。
地名に「馬」が入っているこのあたりでは、騎馬武者姿の市民が本物の馬に乗って走ったり、神旗を奪い合ったりする雄大な祭礼「相馬野馬追(そうまのまおい)」が行われていることでも知られています。
現在の野馬追では現役を引退した競走馬が多く活躍しており、原町区にある南相馬市馬事公苑などを中心に多くの元競走馬たちが第二の生活を謳歌しているようです。
本祭り神旗争奪戦では多数の馬が一度に参戦するようで、一流の走りを知る馬達が疾走する姿は非常に見ごたえがあると言われます。
道の駅南相馬で見つけたポケふたに描かれているのは、馬ポケモンの「ギャロップ」。
相馬野馬追のオマージュといったところでしょうか。
ギャロップの走る速度は時速240キロ、動く物体を見ると競争したくなり猛烈なスピードで追いかけ始める特性を持っているせいでしょう、追われるラッキーが慌てた表情なのも可愛いです。
■ 〜相馬のポケふた〜
尾浜こども公園
前日から一転これ以上ないくらいの心地よい晴天の朝、清々しい気持ちでスタートを切ったこの日は、相馬の新たな観光拠点・松川浦の浜の駅がオープンしたばかりと聞きつけ行ってみました。
相馬地方の新鮮な魚介類や農産物、豊富な特産品の数々、名産品やお土産物が広い施設内にたくさん陳列され、この地の美味しいもの全部出しで出迎えてくれました。
旬のあれこれを楽しめる食堂が併設されているのも、楽しみのひとつですね。
浜の駅ほど近くに、こちらも新しく整備された尾浜こども公園があります。
相馬のポケふたはその公園の敷地内なのですが、ここはなかなか見つからず。
建物の裏や駐車場の隅、広い敷地を右往左往ウロウロ。
ちょうど車から降りられたばかりの、赤ちゃんと小学生くらいの男の子を連れた女性に尋ねてみることに。
「ポケふた、ありますよ」にこやかに教えてくださり、男の子があそこにあるよと誘導してくれました。
大の大人が真剣にポケふた探しをしている図は、冷静に見れば間抜けにも感じますが、こうした優しさにも触れられなんだか恥より得した気分だけが心に残ったのでした。
相馬のポケふたは「ラッキー」と「ポニータ」。
この日のような気持ちよい晴天の下、広い大地を駆けるポニータとラッキーがかけっこしています。
ポニータの特性、走るほどに足腰が鍛えられ速度が増していくとポケモン図鑑に書いてありました。
なるほどポニーは馬ですから、疾走する駿馬のイメージなのかもしれません。
全力疾走の勇壮な姿に歴史の重みとこれからの期待が潜んでいるのかも。
■ 〜新地のポケふた〜
新地駅前
福島県の太平洋側、浜通りの最北端に位置する新地町にある町のシンボル・鹿狼山は、標高430m程で眺望が良く海を見ながら登れる山として知られ、整備された登山コースは子供でも気軽にチャレンジできるようです。
なだらかな山道が続くハイキングコースが5つあり、いずれも駐車場から山頂まで1時間弱で登れるとあって、登山初心者でもカジュアルに自然を満喫できそうですね。
ここ新地町のポケふたには、ツノに不思議な力を持つ「オドシシ」に遭遇したラッキーが、嬉しそうにはしゃぐ姿が描かれています。
鹿狼山には鹿が出没するのか定かではありませんが、もしかしたら「鹿狼山」の文字から鹿に似た姿のオドシシが連想されたのでしょうか。
よくよく見ると、山の向こうに黒いシルエットが…ラプラス?
謎には多くの可能性が秘められているものですから、この町の未来への希望という存在にしておきましょう。
現在はJR常磐線が全線開通、新たに内陸側に移設された新地駅も徐々に人や店や賑わいを取り戻しつつあり、それは新たな新地町に向けた創生努力の結果。
オドシシのツノ効果のごとく、元の町への想いは残しつつ「やっぱり新地がいいね」の基本理念のもと新しい空気の流れを作り動かしているのだと感じました。
福島県のポケふたは今のところ浜通りをメインに設置されているようです。
ポケふた探しをしながら気付くのは、必然的に震災や原発事故の影響について考える状況や環境を目にする機会になっていること。
復興の過程を身をもって知るきっかけになり、ただのアクティビティでは終わらない有意義な時間となりました。
今回の旅では現存のポケふた全てを回りきれませんでしたが、見つけた時の興奮は大人も子どももきっと同じ。
宝探しの達成感も味わえるポケふた探しで、福島がもっと楽しくなるはず。