田村でツキノワグマ初捕獲 イノシシ用のわなに掛かる
田村市船引町永谷の山林で十九日、ツキノワグマが捕獲された。市農林課によると、市内でツキノワグマが捕獲されるのは初めて。イノシシ用のわなに掛かっていた。周辺に他の熊がいる可能性があるため、市は注意を呼び掛けている。
わなは、畑を荒らすイノシシを捕まえようと、市鳥獣被害対策実施隊が仕掛けていた。十八日夜に市鳥獣対策専門員が見回りをしたところ、中に動物がおり、十九日早朝に再度、確認するとツキノワグマだった。体長約一メートルのオスで、市は県や田村署に通報し、殺処分した。
■生息域拡大
県内のツキノワグマは生息域を広げているとされ、田村市での初めての捕獲はそれを裏付ける結果となった。市民は「この辺りにクマはいないと思っていた」と一様に驚いた。
県野生動物調査専門官で獣医師の溝口俊夫さんによると、田村市を含む阿武隈山地は、個体数は少ないもののツキノワグマの生息地化が進んでいる。近年、川内村や葛尾村などで確認されているという。
県はクマの出没が増加するとみて、四月に初めての「ツキノワグマ出没注意報」を県内全域に発令している。溝口さんは「クマが出た地域にはなるべく近づかないようにしてほしい」と話している。