【内田新いわき市政の課題(下)】議会、是々非々でかじ取り

 

 いわき市長選で初当選した内田広之氏(49)は当選後、自身のフェイスブックでこう記した。「選挙が終わればノーサイド。他の候補者の公約でも魅力的な構想がある。是々非々で市政運営のかじ取りをしていく」。今後にしこりを残したくない思いも見え隠れする。

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 市長選では衆院選を直前に控え、自民、立憲民主、公明、共産、社民ともにいずれも自主投票の方針を決め、市長選に臨んだ。国会議員や市選挙区選出の県議らの多くは静観の立場を取った。

 特に自民党の支持層は割れた。市議会の自民系最大会派「志帥会」のうち10人が内田氏を支援する一方、自民系第二会派「一誠会」の8人は現職支持に回った。市長選の保守分裂は2005(平成17)年から5回連続となった。

 選挙後、一誠会の馬上卓也会長(61)は「行政へのチェック機能が議会本来の役割だ。選挙結果にかかわらず、コロナ禍という難局を一緒に乗り切る必要がある」と受け止める。

 ただ、各党所属の市議が内田市政に対してどう向き合うのか、不透明な部分は多い。ある市議は「市長選には多くの立場の人がそれぞれの思惑で関わった。一言にノーサイドと言っても、内田さんにとって難しいかじ取りになるかもしれない」と明かした。

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 新型コロナウイルスへの対応に加え、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故、台風19号被害からの復興など市政が抱える課題は山積している。会派同士の遺恨が議会運営に支障をもたらせば、市民が影響を受ける。

 市議会との関係をどう築き、市勢伸展につなげるのか。内田氏が初めて臨む定例市議会は10月21日に開会する予定だ。

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