桜に娘の姿重ねて 新潟県上越の渡辺さん夫妻 福島県南相馬に墓参

 

桜の成長を確かめる渡辺稔さん(右)と喜久枝さん=福島県南相馬市原町区雫

 

2022/03/13 10:26

 

 新潟県上越市の渡辺稔さん(75)、喜久枝さん(72)夫妻は11日、福島県南相馬市原町区雫(しどけ)の墓地を訪れ、東日本大震災の津波で行方不明になった長女の高田(旧姓渡辺)千鶴さん=当時(32)=をしのぶとともに、近くに植えた桜の木の成長を確かめた。

 渡辺さん夫妻は11年間、毎月11日に上越市から南相馬市まで一般道を約七時間かけて訪れ、千鶴さんの嫁ぎ先の墓に、手を合わせてきた。

 千鶴さんは南相馬市出身の会社員の夫と上越市で暮らしていた。夫の転勤で震災が起きる5カ月前、南相馬市に引っ越した。2011(平成23)年3月11日、千鶴さんは義母、義祖母と一緒に、海岸近くの自宅にいたとみられる。

 渡辺さん夫妻は4年前、南相馬市原町区雫の墓のそばにソメイヨシノの苗木を植えた。30年前、千鶴さんの中学入学を記念し、上越市の自宅に植えた木の根が分かれて生えてきたものだ。植えたときは30センチほどだった苗木は、稔さんの背を超えるまで大きくなったが、まだ花を咲かせたことはない。

 この日、渡辺さん夫妻は墓に花を手向け、手を合わせた後、桜の木に触れた。喜久枝さんは「千鶴、会いに来たよ」と語り、稔さんは「早く花を咲かせて」と呼び掛けた。

 

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