震災の津波で全壊の豊間郵便局再開 福島県いわき市
テープカットする小野木常務(右から3人目)や内田市長(同4人目)
2022/05/11 09:45
故郷への恩返しを誓う遠藤局長
東日本大震災の津波で全壊した福島県いわき市の豊間郵便局は10日、市内平豊間で再開した。
開局セレモニーが行われ、関係者約50人が出席した。日本郵便の小野木喜恵子常務執行役員東北支社長が「コミュニティーづくりに役立ちたい」とあいさつし、内田広之市長が祝辞を述べた。小野木常務や内田市長らがテープカットした。
日本郵便は地域の復興が進んだのを受け、豊間郵便局を復活させた。旧郵便局跡地から南西約600メートルの津波被害のなかった場所に新築した。
■古里に恩返し 豊間郵便局長に就いた遠藤雄三さん 福島県いわき市
福島県いわき市の豊間郵便局長に就いた遠藤雄三さん(50)は豊間地区の出身。「育ててくれた古里に恩返しする」と初日に訪れた住民を見つめ、決意を語った。
11年前、市内の別の郵便局に勤務していたが、消防団員として豊間地区で行方不明者を捜索した。実家は流され、親族が犠牲になった。荒れ果てた故郷を前に悲嘆に暮れた日々だったという。
「地域のために、いつか郵便局を再開させたい」。そんな思いを常に抱いていた。豊間郵便局再建の情報を聞き、真っ先に勤務を希望した。
オープンまでに多くの地域住民から期待の声をかけられた。「誰もがふらりと立ち寄れる場所にしたい」と目に涙を浮かべながら誓った。