福島県浪江町の小中9校が合同閉校式 吉田町長「心にぽっかり穴があく思い」

 

9校の校旗と記念撮影する卒業生ら

 

2022/09/26 09:02

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で閉校した福島県浪江町の小中学校9校の閉校式は25日、町地域スポーツセンターで行われ、卒業生や教職員らが思い出の学びやに感謝と別れを告げた。

 9校は浪江、幾世橋、請戸、大堀、苅野、津島の6小学校と浪江、浪江東、津島の3中学校。関係者約70人が出席した。各校の元校長がそれぞれの校旗を笠井淳一町教育長に返納した。笠井町教育長は各校閉校までの経緯を説明し、「非常に無念でならない。各校の歴史や実績を継承し、将来に生かしていく」と式辞を述べた。

 吉田栄光町長は「心にぽっかり穴があく思いだ。各校が培ってきた文化を次の世代に継承し、さらに発展させていく」と誓った。佐々木恵寿町議会議長、横山修県相双教育事務所長があいさつした。

 浪江小、浪江中を卒業したピアノ奏者の添田哲平さんが9校の校歌を演奏した。添田さんは「小学生のときから母校の校歌を伴奏しており、感慨深かった。一つの歴史が終わるが、原発事故が起きたので仕方がない」と複雑な思いを語った。町内では現在、なみえ創成小・中で子どもたちが学んでいる。「優しく、平和を思う子に育ってほしい」と願った。

 9校は原発事故による避難などに伴い、昨年6月までに全て閉校した。浪江、幾世橋、大堀、苅野の4小学校と浪江中は既に解体された。浪江東中は、なみえ創成小・中の校舎として利用されている。請戸小は震災遺構として整備された。津島小と津島中は町教委などが校舎の利活用を協議している。

 

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