福島県大熊町で原発事故後初の戦没者追悼式 不戦の誓い新た
祭文を読み上げる沢原会長
2022/10/19 21:31
福島県大熊町戦没者追悼式は19日、町交流施設linkる大熊で東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生後初めて行われ、参列者が戦没者の霊を慰め、不戦の誓いを新たにした。
主催する町遺族会の会員が原発事故により県内外に避難中のため、開催を見送っていた。町内に式ができる会場が昨年完成したため、約12年ぶりに催した。双葉郡戦没者追悼式と一緒に行い、町遺族会の会員25人を含む双葉郡8町村から約60人が参列した。
吉田淳町長が「町民の心を大切にした、平和で明るいまちを築き上げていく」と式辞を述べた。双葉郡遺族会の藤田保正会長らが追悼の言葉を述べた。町遺族会の沢原善男会長らが献花した。
戦没者慰霊祭に移り、沢原会長が「ロシアによるウクライナ侵攻など世界で不穏な動きが絶えない。恒久平和の実現に向け、戦争の悲惨さと平和の尊さを継承する」と祭文を読み上げた。参列者が玉串をささげ、平和への祈りを込めた。
沢原会長の父善次郎さんは太平洋戦争に出征し、終戦直後に旧ソ連軍の捕虜となり、抑留されたシベリアで38歳の若さで亡くなった。沢原さんは約12年ぶりの式を終え、「ご英霊もさぞかし喜んでいると確信している。本当に感無量だ」と感慨に浸った。