「昆虫採集中の人に注意」の看板を披露する久保田さん

 

2022/12/12 21:00

 

　「昆虫の聖地」を目指す福島県田村市は、虫にちなんだ品を次々に作っている。「昆虫採集中の人に注意」の看板、虫の鳴き声などを集めて作った音楽「インセクトミュージック」、年刊雑誌など、どれも独創的だ。情報を発信するウェブサイト「ＫｏｎＴｕｂｅｒ（コンチューバー）」もできた。冬なのに、田村の里はムシあつい。

　「昆虫と言えば田村」のイメージを一層浸透させようと取り組んでいる。６月に初めて開いた全国クワガタサミットの成果を踏まえ、価値デザイナー渡辺賢一さん（内閣府クールジャパン官民連携プラットフォームディレクター）らの助言を受けながら進める。

　「昆虫採集中の人に注意」の看板は、観光施設「ムシムシランド」をはじめ市内に設置する予定。「インセクトミュージック」は、市内で録音した虫の鳴き声や羽音などを組み合わせて楽曲に仕上げた。年刊雑誌とともにウェブサイト「ＫｏｎＴｕｂｅｒ」（ｈｔｔｐｓ：／／ｋｏｎｔｕｂｅｒ．ｃｏｍ）で公開している。

　「昆虫の聖地」づくりの根本には、昆虫がすむ里山の保全が市民の暮らしやすい環境形成につながるとの思いがある。市は、昆虫と共生する環境づくりが田村から世界に広がることを期待する。

　市は今後、市内の宿泊施設やタクシーに虫取り網と虫かごを常備して観光客に使ってもらったり、昆虫をテーマにした旅行ツアーを造成したりしたい考え。「ＫｏｎＴｕｂｅｒ」編集長に指名された、クリエーティブ制作会社「シフト」の久保田健一さん（３９）は「ムシで田村全体をもっと盛り上げたい」と話している。