目指せ川内産蒸留酒 醸造士の大島草太さん 独立し製造事業着手 元薬局の倉庫改装 福島県川内村
元薬局の倉庫を購入し、蒸留酒事業に向けて一歩を踏み出した大島さん
2023/07/12 09:22
福島県田村市都路町のクラフトビール醸造所「ホップジャパン」の醸造士を務めた大島草太さん(26)が独立し、川内村で蒸留酒のジン造りを始める。元薬局の倉庫を改装し、蒸留酒の製造施設や販売所、バーなどが入った施設を整備する計画だ。
大島さんは福島大在学時の実習がきっかけで川内村に足を運ぶようになった。地元住民と話す中で、村の豊かな自然と文化に気づき、村に誇りを持った人が多いのを実感した。井戸水を自慢にしている人が多かったため「おいしい蒸留酒を造ることができるのでは」と思っていた。
震災復興に尽力したいという願いと、ビール醸造に関わる中で自分で蒸留酒を造ってみたいという思いが高まり、独立を決断した。
使われなくなっていた元薬局の倉庫を紹介され、拠点として購入した。1階の倉庫部分は、製造所として使い蒸留器やタンクなどを配置。2階部分を事務所やバー、販売所として整えたい考え。資金は補助事業やクラウドファンディングを活用して集める。改築は、建築を学んでいる首都圏の学生らの協力を得て進める。オンラインなどで会議を重ね、互いの夢なども語りながら理想の施設完成を目指している。さらに多くの人と連携を深め、村の新たな拠点にする決意だ。大島さんは「川内の自然の魅力を詰め込んだ世界に誇れる蒸留酒を生み出したい。それが復興支援につながるとうれしい」と話している。