【第9回ふくしま産業賞 特別賞】大堀相馬焼協同組合(浪江) 伝統受け継ぎ新風も

 

300年以上の歴史があるとされる大堀相馬焼をPRする従業員

 

2024/01/10 10:12

 

 浪江町大堀地区に300年以上前から伝わるとされる国指定の伝統工芸品・大堀相馬焼の魅力発信や後継者育成に取り組んでいる。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で一時は存続の危機に陥ったが、2021(令和3)年3月に町内で活動を再開し、組合員が一丸となって伝統を受け継いでいる。

 大堀相馬焼は疾走する馬の絵付けや表面に細かく入った「青ひび」、「二重焼」と呼ばれる中空構造が特徴。大堀地区は帰還困難区域となり、二本松市に拠点を移した。浪江町に帰還後、道の駅なみえに新たな拠点を置き、焼き物を販売している。2022年は震災後2番目の売上高となる1100万円超を記録。趣向を凝らし、ピアスや色鮮やかな皿を生み出すなど現代的な作品も売り出している。

 震災前に事務所を置いていた拠点施設「陶芸の杜おおぼり」の避難指示が昨年3月に解除された。今年は施設内で恒例行事「登り窯まつり」の復活を計画している。年度内には焼き物のネット販売を始める予定だ。半谷貞辰(ていしん)理事長(71)は「先人が築いてきた伝統の火を絶やすわけにはいかない。新たな取り組みをしながら歴史をつなぐ」と決意する。

 

■メモ

▽設  立=1964(昭和39)年3月

▽代表理事=半谷貞辰

▽従業員数=2人

▽住  所=浪江町幾世橋字知命寺40

▽電話番号=0240(35)4917

 

関連記事

ページ上部へ戻る