持ち主不明「思い出の品」処分へ 震災の津波で流出し回収 福島県いわき市、保管継続困難に
いわき市の思い出の品返還事業で展示された写真=2022年8月11日
2024/12/26 10:53
東日本大震災の津波で流出し、自治体が回収した持ち主不明の写真アルバムなど「思い出の品」(津波遺留品)の保管や返還を続けてきた福島県いわき市は25日、保管の継続が困難になったとして、一部を除いて処分すると発表した。
市は震災後に沿岸部で見つかった写真やアルバム、携帯電話、バッグなど約5千点を公共施設で保管してきた。震災から13年以上が経過して劣化が進み、保管場所の確保も難しくなったという。いわき震災伝承みらい館で進めてきた返還事業も引き取りを申し出る人が減り、処分を決めた。
来年1月10日から2月28日まで、同館で最後の展示・返還事業を行う。津波被害を受けた市内平薄磯の修徳院で3月11日におたき上げを行い、震災伝承資料として保存する一部を除いて年度内に処分する。
いわき震災伝承みらい館は遺留品の画像をデータベース化しており、処分後も閲覧できる。箱崎智之副館長は処分について「遺留品の返還事業の周知に努めてきたが、需要がかなり減った。肌感覚ではあるが、過去の記憶にとらわれずに生活している方も増えたように思う」と話した。