新たな動線 小名浜道路開通(下) 観光誘客 大きな武器 港町からの波及効果期待

道の駅として9月にリニューアルオープンする「いわき・ら・ら・ミュウ」。小名浜道路開通に伴う交流人口の拡大が期待されている
2025/08/07 09:29
自動車専用道路「小名浜道路」(延長8・3キロ)により、常磐自動車道と結ばれる、福島県いわき市の小名浜港周辺には多くの観光スポットが集積している。アクセス面での利便性向上は、観光誘客の促進に向けた大きな武器になる。
年間入り込み数140万人を誇り、港町のにぎわいをけん引する「いわき・ら・ら・ミュウ」は9月12日に「道の駅いわき・ら・ら・ミュウ」としてリニューアルオープンする。地元で水揚げされる「常磐もの」を中心に人気の魚介類の売り場に加え、農産物直売所を新設するなど、さらに魅力的な施設となる。関係者は来場者増など、開通に伴う波及効果を見込んでいる。
7月に開館25周年を迎えたアクアマリンふくしまや2018(平成30)年にオープンしたイオンモールいわき小名浜など、周辺には集客施設が立ち並ぶ。サッカーJ2いわきFCが新スタジアム整備候補地としている。来年は小名浜港開港70周年、市制60周年の節目に当たる。開通によるメリットを最大化するためにはこうした「好材料」をどう生かしていくかが課題だ。
小名浜地区を中心ににぎわい創出に取り組む、小名浜まちづくり市民会議の小沼郁亙[ふみのぶ]会長(59)は「海辺から市街地全体のにぎわいに波及させるきっかけになる」と新道路に期待をかける。その上で「小名浜だけでなく、市内全体で一丸となって活気あるまちづくりを進める必要がある」と盛り上がりを一部のみ、一過性で終わらせない姿勢が重要になると強調した。
開通への期待の声は、一刻を争う対応が求められる医療・救急現場からも上がる。市内のかしま病院の石井敦院長(53)は「救急搬送の迅速化、医師や医療専門職らの交流の促進にもつながる。医師不足への対応や広域連携の推進に寄与するのではないか」と語る。
■7日、午前10時30分から開通式
小名浜道路は7日、全線開通する。開通式が午前10時30分から、いわき市添野町大町で行われる。一般車両の通行は午後3時から。
2012(平成24)年に事業化され、2016年に着工した。「ふくしま復興再生道路」として整備が進められてきた。常磐道にはいわき小名浜インターチェンジ(IC)で接続する。