手話使い復興状況説明 「語り人育成講座」の受講者 モニターツアーでガイド 福島県富岡町

手話で復興の状況などを伝える受講者
2025/08/13 10:31
「手話による語り人育成講座」の受講者がガイドを務めるモニターツアーが11日、福島県富岡町で開かれた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被害や復興の状況を手話で語り継ぐための講座で、受講者がモニターツアー参加者に日頃の練習の成果を披露した。
講座は、NPO法人富岡町3・11を語る会がろう者を含め、幅広い人に教訓を伝え、防災につなげられるように県聴覚障害者協会と連携して昨年から実施している。モニターツアーは、同NPOがろう学校の教育旅行などの受け入れを目指し、受講者が手話で被災地の被害状況や経過などを的確に伝えられるかを確認する目的で企画した。
ろう者ら約30人が参加し、昨年からの講座受講者5人がガイドを務めた。バスに乗って町内の夜の森の桜並木や商店街、富岡高などを巡りながら、受講者が語り人として手話を使って震災発生当時の状況や復興の経過、帰還が進まない現状の課題などを説明。常に手話でコミュニケーションを取りながら交流を深めた。
同NPOの青木淑子代表は「災害は誰もが同じく被害を受ける。学びの機会をあきらめることがないように環境を整えていく」と話した。モニターとして参加した福島市の高林孝行さん(52)は「手話によって震災前のにぎわいや人も家もなくなった寂しさなど感情も伝わってきた。文字だけでは分かりにくい部分も理解できた」と振り返っていた。