福島県の双葉に響く復興の歌 日フィル×つのだ☆ひろさん演奏会 浅野撚糸双葉事業所で震災、風化させない

 

日フィルの演奏に合わせ、希望の鳥を披露するつのださん(中央)

 

2025/12/07 10:10

 

 浅野撚糸双葉事業所の双葉ジャンプアップコンサートは6日、福島県双葉町の事業所内で開かれた。日本フィルハーモニー交響楽団(日フィル)と、塙町出身のミュージシャンつのだ☆ひろさんが共演。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を伝えるために福島民報社が作った絵本「きぼうのとり」を題材に、つのださんが作詞作曲した歌「希望の鳥」が披露された。

 歌はつのださんが絵本に感銘を受け、「震災を風化させてはならない」という思いで制作。トランペットやホルン、トロンボーン、チューバの金管楽器による日フィルの演奏に合わせ、力強い歌声を響かせた。

 日フィルはヴェルディ「乾杯の歌」、ジーツィンスキー「ウイーン我が夢の街」などを披露。いわき市出身のソプラノ歌手根本璃音さんも加わり、復興を願う美しい音色を届けた。

 会場には国や福島県、町の関係者、町民ら約200人が訪れた。きぼうのとりが配布され、絵本を手にして命の大切さを再認識した。

 コンサートは福島県の復興に貢献しようと双葉町に進出した浅野撚糸が、被災地の復興加速化に向けて毎年催している。

 

■被災地の今考える 報道各社など意見交換

 コンサートでは音楽演奏に先立ち、「被災地の今を伝える、みんなで考える」をテーマにしたパネルディスカッションが行われた。報道各社の代表らが東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興状況、能登半島地震の被災地の現状などに意見を交わした。

 福島民報社の渡部育夫いわき支社長兼浜通り創生局長、北陸中日新聞の前口憲幸七尾支局長、日フィルの平井俊邦会長、大和ライフネクストFUTATABIの練生川裕一総支配人、浅野撚糸の浅野雅己社長が登壇した。東京新聞の菅沼堅吾顧問がコーディネーターを務めた。

 渡部支社長は震災と原発事故発生当時の状況、復興の歩みなどを紹介。懸念されている風化を防ぐためにも、「双葉での出会いや出来事を少しでも発信し、小さな輪を広げていってほしい」と呼びかけた。

 前口支局長は来年1月で発生から2年となる能登半島地震の取材活動を報告。「能登を知って、応援を続けてほしい」と訴えた。平井会長は被災地での支援活動を継続し、「音楽の力で新しいまちづくりを応援していきたい」と展望した。

 練生川総支配人は双葉町に整備しているホテル運営を通じ、「地域の魅力を広げる」と誓った。浅野社長は双葉事業所をさらに発展させ、「地域の再生に貢献する」と決意を新たにした。

 

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