感染心配 帰れぬお盆 新型コロナ再拡大で、家族のため我慢

 

【福島民報ニュース】

 新型コロナウイルス感染が再拡大し、県外に住む福島県出身者にも古里に帰らないお盆休みを選ぶ動きが出ている。首都圏在住者の一人は感染させるリスクを心配して帰省を断念した。大都市圏に住む家族との再会を苦渋の思いで諦めた県民もいる。一方、墓参り代行サービスは帰省自粛を決めた県外在住者からの依頼が増加するなど、故人をしのぶ形も変化している。

 「感染拡大を防ぐためには仕方ない」。東京都在住の会社経営吉田康雄さん(64)はお盆の帰省を諦めた一人だ。JR東日本によると、7~17日のお盆期間の東北新幹線の予約席数は前年同期比で約8割減となっており、帰省しない決断をした人の多さを物語る。 吉田さんは4月に須賀川市に住む兄を亡くした。政府が全都道府県に緊急事態宣言を拡大する直前だった。市内で営まれた通夜や告別式の参列を断念した。「新盆こそは」と13日に市内の実家に帰る予定だったが、感染の再拡大を受け、再び帰郷をとりやめた。「まだ気持ちの整理がつかない。早く兄に会いに行きたい」と収束を願った。

 いまだ感染者数ゼロの会津地方の住民も複雑な思いを抱える。会津若松市の会社役員佐々木洋一さん(60)は東京都と千葉県に3人の息子がいる。身内の法事がある10日に家族で集まるつもりだったが、感染者が急増している首都圏の現状を見て帰省しないよう促した。「子どもたちが無症状の場合もある。本当は会いたいが、誰かに感染させてしまったらと思うと…。控えてもらうしかない」と声を落とした。

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