農業再生の花開く 飯舘の長泥 ストック栽培
東京電力福島第一原発事故に伴い飯舘村内で唯一、帰還困難区域となっている長泥行政区では、農業の再生に向けて実証栽培しているストックが花の盛りを迎えている。
除染土壌を再生資材化し、農地造成に再利用する環境省の事業の一環で、地元住民が参画し野菜や花きを育てている。昨年建てられた約一アールのハウスでは、室温を二〇度に保ってストックやトルコギキョウなど四種類の花を栽培している。
鴫原誠一さん(77)=川俣町に避難=と鴫原圭子さん(58)=福島市に避難=は避難先から月二、三回のペースで通い、苗の定植やせん定などの作業に携わっている。
長泥行政区は約百八十六ヘクタールが特定復興再生拠点区域(復興拠点)に認定され、二〇二三(令和五)年春をめどに避難指示解除を目指している。誠一さんは「長泥でも農業ができることを証明したい」と意気込む。育てた花は福島市の環境再生プラザなど、県内の環境省関係施設に展示される。