自分らしい生き方は、自分で決める。「食」を通して、福島の魅力を発信したい!

 

 

あぶくま高原のほぼ中央に位置する自然豊かな福島県田村市。この地に魅了されて移住した若者が、栃木県出身の大島草太さんです。

福島大学に進学した大島さんは、在学時にあぶくま地域の「食」をPRするため、ワッフル屋「Kokage Kitchen(コカゲキッチン)」を起業。並行して地域おこし協力隊としても活動し、大学を卒業した現在は、2020年にオープンした田村市のクラフトビール醸造所「ホップジャパン」にて、ビール醸造や企画に携わっています。

海外や日本中を旅して自分の道を探したという大島さんが最終的にたどり着いた先は、「食」を通して福島の魅力を発信したいという想いでした。

さまざまなチャレンジをしながら自分らしい生き方を切り開く大島さんに、福島での出会いから広がるストーリーとこれからの展望を伺いました。

 

たくさん旅をして、最後に辿り着いた「川内村」

大島さんが福島に魅了されるきっかけとなったのは、大学1年生のとき。授業の一環で、地域の課題解決のためフィールドワークに参加して訪れた「川内村」との出会いでした。

川内村を訪れる前の大島さんは、原発事故の影響で一時は全村避難を余儀なくされた川内村に対して、「被災地だから村全体が元気をなくしているかもしれない」「高齢化が進んだ村に若者はいないのではないか」とネガティブなイメージを持っていたと言います。

しかし、実際に訪れてみてそのイメージは大きく覆えされました。

「村の人たちがすごく魅力的だったんです。よそから来た自分を笑顔で受け入れてくれて、仕事も遊びも自分たちの手で生み出している。一度はだれもいなくなった村に戻ってきた人たちだからこそ、想いが強くてカッコいい大人たちの姿がありました」

その後、フィールドワークの活動を終え、大学3年時には1年間休学をして旅に出る決断をします。カナダのレストランで働いたり、バックパーカーで20カ国を巡ったり、帰国後はバイクで九州の先端まで、日本中を旅して周りました。

 

写真提供@大島草太

さまざまな人や文化・価値観に触れるなかで、自分が本当にやりたいことは何か、どんな場所で、どんな生き方をしたいかを真剣に考えたと言います。

そんな大島さんが最終的に行き着いた先が、川内村でした。

「暑いところが好きなので、特にいいなぁと思った場所は、メキシコ・ハワイ・宮崎県です。でも最後には、福島の山のなかにある川内村に戻ってきちゃったんですよね(笑)」

南国とはかけ離れた、福島の小さな村を選んだ理由はいったい何だったのでしょうか?

水の合う場所で、挑戦する生き方がしたい

「旅に出るまでは “いい会社に入っていい仕事に就くことが幸せ” という価値観で生きていました。でも、カナダのレストランでは、年齢や上下の関係なく、みんながフラットに楽しく働いていました。その姿を見ていたら、いい会社や役職にこだわって生きるよりも、自分が本当にやりたいことを選択して、自分の人生に納得して生きたい思うようになったんです」

さまざまな経験のなかで思い出したのは、川内村でカッコよく生きる人たちの姿でした。水が合う土地で、自分も何かに思い切り挑戦する生き方がしたいと思うようになったのだそう。

そしてもうひとつ、大島さんには福島を選んだ理由があります。

それは、海外で言われた一言。原発事故により負のイメージが拡張され「福島は人の住むところじゃない」という言葉を投げかけられたことでした。

かつては自分も同じようにネガティブなイメージを持っていたけど、今は本当の福島の姿を知っている。

「福島には強い想いで前向きに生きている面白い人たちがあふれていることを知ってほしい。福島の魅力をもっと多くの人へ伝えるようなことができないだろうか……」

旅を終えた大島さんは、川内村に戻り、自分にできることを模索しはじめました。

 

ワッフルであぶくま地域の魅力を発信!

そんな大島さんが着目したのは、川内村の「食」です。

川内村では、耕作放棄地対策としてそば栽培が行なわれ、村内の蕎麦屋などで使用されていましたが、それでもたくさん余ってしまっている現状がありました。

地域の資源を使ってPRができたら、川内村の魅力を知ってもらうきっかけになるのでは?

写真提供@大島草太

そうして2019年にスタートさせたのが、川内村産のそば粉を使ったワッフル屋「Kokage Kitchen」です。材料にこだわり、となり町の田村市産のハチミツと都路町の卵も使用。あぶくま地域の素材を使い、イベント出店でおいしいワッフルを多くの人に届けました。

「Kokage Kitchen」は、徐々にその評判が広がります。2020年にはクラウドファンディングを利用して、キッチンカーを導入。あぶくま地域の魅力を乗せて、積極的に村の外にもPRに赴きました。

 

写真提供@大島草太

現在は、新型コロナウイルスの影響で遠方へのイベント出店が行えていませんが、いつか日本全国をめぐり、福島の食の魅力を発信していきたいと語ります。

 

田村産ホップのクラフトビールで新たな挑戦!

大学在学中には、川内村のとなりにある田村市の地域おこし協力隊としても活動し、町にある「グリーンパーク都路」の活性化と、クラフトビール醸造所「ホップジャパン」の立ち上げにも携わってきました。

卒業した現在は、「ホップジャパン」でビール醸造士としての経験も積んでいます。

「ホップジャパンの社長・本間誠さんはカッコいい大人の代表みたいな人です。衰退したホップ農業を復活させ、そのホップを使用してビールづくりを行うという循環型社会の理念と社長の人柄に惹かれて現在に至ります。クラフトビールは奥が深くて、とにかく楽しいです。ビールを通して、さらに地域の魅力を伝えていければと思っています!」

 

週末には、ワッフルに加え、クラフトビールを乗せてキッチンカーを走らせる大島さん。楽しんで仕事をする様子は、周りの人たちを笑顔にし、あぶくま地域に興味をもつ人も増えています。

「これからもいろんな人を巻き込みながら、この地域が楽しくなるようなチャレンジをしたいきたい」と語る大島さん。

いただいたワッフルとビールは、たくさんの想いが詰まったおいしさと温かさがありました。

(文・写真 奥村サヤ)

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