コロナ収束切り札 福島県内ワクチン接種開始 医療従事者から

 新型コロナウイルス感染症ワクチンの医療従事者向けの接種が四日、県内で始まった。初日は会津若松市の会津中央病院と郡山市の星総合病院、非公表の二施設の計四カ所にワクチンが一箱(九百七十五人分)ずつ届いた。病院や高齢者施設でのクラスター(感染者集団)発生が相次ぐ中、医療従事者や県民からは流行収束の切り札とされるワクチンの接種開始に期待の声が上がった。 

 県によると、四日は会津中央、星総合両病院を含む三施設で計三十人が接種を受けた。重篤な副反応の疑いが確認された人はいなかった。五日は福島市の大原綜合病院といわき市医療センター、非公表の一施設の計三カ所に一箱ずつ届く。各施設の判断で順次、接種を進める。 

 八日の週にも福島県に七箱(六千八百二十五人分)が届く予定で、一箱を複数の医療機関で分けるなどして別の十六施設の医療従事者が接種を受けられるようにする。 

 ただ、優先対象の県内医療従事者約七万人のうち、接種の見通しが立っているのは二割程度にとどまる。現時点で国によるワクチン確保量が十分ではなく、供給スケジュールも不確定で、県民全体に接種が行き渡るにはまだ課題が多そうだ。 

 会津中央病院を運営する温知会は医療スタッフ分に加え、病院業務に不可欠な委託業者分も含め約千六百人分を厚生労働省に申請したが、届いたのは病院分約九百五十人分だけだった。武市和之院長(73)は「ワクチンは外国メーカーからの供給なので、現状ではやむを得ない」と受け止める。 

 今後、市町村が実施主体となる六十五歳以上の高齢者、一般住民の接種も国の想定通りに進むかどうかは未知数だ。各市町村は「個別」「集団」といった接種体制を構築しようとしているが、供給量や時期が見通せず、対応に苦慮している。武市院長は「(病院として)一般市民の接種開始を見据えたシミュレーションを始めているが、現時点では確定的な計画は立てられない」と実情を明かす。 

 初日に接種を受けた星総合病院の野水整院長(67)は、医療従事者以外へのワクチン接種を早急に済ませる必要性を訴える。ワクチンの目的を「集団免疫を作って感染をコントロールすること」と位置付けた上で「(医療従事者への優先接種で)医療崩壊を防ぎながら、できるだけ早く接種対象を広げる必要がある」と強調した。 

■星総合病院会津中央病院 接種スムーズに

 県内初日に接種が行われた星総合、会津中央両病院の様子が報道陣に公開された。 

 星総合病院には午後三時すぎにワクチンが届いた。午後五時前から同病院敷地内のホールで接種が始まり、スムーズに進んだ。ステージ上のスクリーンには「接種後十五分は経過観察の時間となります。体調不良の方は手を挙げて申し出下さい」と表示され、第一陣で接種した医療スタッフ十人が椅子に座って副反応の有無を確認していた。男性医師の一人は「通常の予防接種と全く変わらない。針の痛みだけだった」と感想を語った。 

 これに先立ち、会津中央病院では午前十一時すぎにトラックが到着した。配達員二人がワクチンの入った大型の箱を荷台から台車に載せ、接種会場の会議室に運び込んだ。病院関係者が箱の中の温度を確認すると、マイナス七九・三度を表示していた。 

 看護師らは手間取ることなく準備を進めた。午後一時ごろ、病院を運営する温知会の南嘉輝理事長(79)が最初に接種を受けた。五秒足らずで終わり、武市院長や病棟勤務の医師、看護師、検査技師九人が続いた。南理事長は「ワクチンは現段階で感染を防ぐ唯一の方法。患者の対応に当たる医療従事者が肉体、精神両面から安心感を持って業務に取り組めるようになる」と接種の意義を強調した。

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