大熊の復興拠点、生活可能に 「準備宿泊」10月開始 拠点内初、町長が方針

 大熊町は東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で生活できる取り組みを十月から始める。吉田淳町長が九日、三月定例町議会の一般質問で方針を示した。政府の協力を得て、復興拠点内に住所のある町民が夜間も含めて滞在できる準備宿泊制度を適用し、避難指示解除まで継続する。県内六町村に整備されている復興拠点での準備宿泊について、具体的な開始時期が示されたのは初めて。

 大熊町は二〇二二(令和四)年春ごろの復興拠点の避難指示解除を目指している。復興拠点の準備宿泊の対象者は約六千人。町は実施の要件を(1)除染が完了し、空間放射線量が毎時三・八マイクロシーベルト(年間二〇ミリシーベルト相当)を下回っている(2)電気や上下水道などのインフラ復旧を終えている-としている。約八百六十ヘクタールの復興拠点では家屋解体を申請した住民が多く、町は準備宿泊を希望する町民は対象者の一割未満と見積もっている。

 ただ、除染が完了し、許可証なしで自由に復興拠点に入れる「立ち入り規制緩和区域」の約六百十三ヘクタールでは住宅の新築が可能となっており、既に家屋を建設した住民もいる。

 下野上地区に住宅を新築した兼業農家の池田光秀さん(59)=広野町に避難=は牛の世話と牧草栽培に取り組んでいる。「宿泊できるようになれば帰還に向けて一歩前進する。時間を気にせず作業に集中でき、営農再開の準備が進む。牛の急病などにも対応できる」と歓迎した。その上で、商業施設や病院などの生活基盤整備を求めた。

 一方、上下水道などのインフラ復旧や家屋解体を含む除染の進捗(しんちょく)状況次第で、準備宿泊の開始時期がずれ込む可能性もある。復興拠点では除染が終了しておらず、立ち入り規制緩和区域に含まれていない地域が二百ヘクタール以上残っている。町はかつての中心市街地だったJR常磐線大野駅周辺の再開発に向け、駅周辺の住宅を解体して更地にする方針だが、依然として荒廃した家屋が立ち並ぶ。町環境対策課の沢原寛課長は「国は復興拠点内の除染を早急に完了させ、放射線量の低減に努めてほしい」と語った。

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