浜通りに国際教育研究拠点の新設明記 政府、復興基本方針改定

 

 政府は九日の閣議で、二〇二一(令和三)年度から五年間の第二期復興・創生期間に向け、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興基本方針を改定した。浜通りに「創造的復興の中核拠点」として国際教育研究拠点の新設を明記。避難指示が解除された地域への移住促進などを重点とした。食品の出荷規制を科学的・合理的に検証していくことも盛り込んだ。

 改定された復興基本方針のポイントは【下表】の通り。被災地では「事故から十年が経過し、人口減少や高齢化、産業空洞化が進行している」と指摘。福島県再生には「引き続き国が前面に立つ」との方針を継承した。

 地域活性化には避難した住民の帰還促進だけでなく、新たな住民の移住や、交流人口の拡大などを後押しする必要があるとした。交付金で地方自治体、移住・起業希望者を支援していく。

 岩手、宮城両県をはじめとする津波被災地はインフラ整備がほぼ完了した。今後は被災者の心のケアや産業再生などに力を入れ、五年間で復興事業の完了を目指す。

 今後五年間の復興事業費は一兆六千億円程度を見込んでおり、二〇一一~二五年度の総額は三十二兆九千億円程度となる。

 政府は閣議決定に先立ち、全閣僚による復興推進会議と原子力災害対策本部の合同会合を首相官邸で開いた。菅義偉首相は「(復興を)引き続き政府の最重要課題として取り組む」と述べた。

【改定された復興基本方針のポイント】

◆処理水は先送りできない課題で、政府として責任を持って、風評対策も含め適切なタイミングで結論

◆帰還困難区域の復興拠点では、目標期間内の避難指示解除を目指し整備を継続。復興拠点外は各自治体の課題や要望を伺いながら方針の検討を加速化

◆移住・定住の促進、交流人口・関係人口の拡大に向け交付金で自治体、移住・起業希望者を支援

◆「創造的復興」の中核拠点として浜通りに国際教育研究拠点を整備

◆農地の利用集積、生産・加工が一体となった高付加価値生産を展開する産地の創出を支援

◆食品の出荷規制などについて知見やデータを踏まえ、科学的・合理的に検証

◆復興庁の設置期限を2031年3月末まで延長。2011~25年度までの復興事業規模と財源は32兆9000億円

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