思い出の品展示場21日閉鎖 浪江 津波被災地で見つかった物品保管

 

 東日本大震災後、津波に被災した沿岸部で見つかった物を保管し、持ち主に返してきた浪江町の「思い出の品展示場」が二十一日、幕を下ろす。最も多い時で一万七千八百点を展示し、約二千五百六十点を返却してきた。震災や東京電力福島第一原発事故で避難した町民が一時帰宅の際に立ち寄り、大切にしていた思い出の品を見つけるなど、いくつもの感動の物語があった。

■一つでも多く持ち主に

 色あせた写真、糸がほつれたぬいぐるみ、傷付いたランドセル、制服、名札、位牌(いはい)…。浪江町の六号国道沿いの店舗に、無数の品が展示されている。

 環境省から浪江町沿岸部のがれき処理工事を請け負った安藤ハザマ東北支店の社員が工事の一環として、「住民の思い出に結びつくような物」を保管。警察の沿岸部捜索や町役場に届いた物も合わせた。二〇一四(平成二十六)年七月末にギフト店跡に開設された。

 来場者の多くが県外から古里を訪れた人で、遠くは九州から来た人も。七年間で延べ一万人を超えたが、年ごとに減少してきた。環境省、浪江町は一定の役割を終えたとして、震災と原発事故から十年を機に、閉鎖を決めた。

 展示物のうち、写真などの一部は震災を後世に伝える物として保存されるが、その他は処分される予定。運営する職員は「一つでも多く所有者へお返ししたい」と願う。

 最終日の二十一日まで休まず開場。時間は午前九時から午後四時まで。住所は浪江町高瀬字牛渡川原二一七(旧双葉ギフト店舗内)。

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