削減目標比923ヘクタール過剰 2021年産米価、震災後最安懸念 福島県産主食米作付面積
福島県内の二〇二一(令和三)年産の主食用米の作付面積は、前年産実績から三千五百ヘクタール減とする目標値の五万五千七百ヘクタールより九百二十三ヘクタール過剰の状態となっている。福島県やJAなどでつくる福島県水田農業産地づくり対策等推進会議が十五日、主食用米の作付見込み面積が五月三十一日現在で五万六千六百二十三ヘクタールに上ると明らかにした。
福島県内の二〇二一年産米の作付面積の動向は【表】の通り。福島県やJAが作付転換を推進した結果、飼料用米は前年産実績から三千四百三十ヘクタール増え、目標値を千三百六十三ヘクタール上回った。しかし、主食用米は目標達成には至らず、さらに九百二十三ヘクタールの削減が必要な状況となっている。
推進会議の試算では、二〇二〇年産米の四月末時点の県平均価格(六十キロ当たり)は一万三千五百三十一円で、前年同期比千六百七十四円減と大きく落ち込んでいる。新型コロナウイルス感染拡大による外食産業での需要減などを背景に、二〇二一年産米の価格は目標を達成できなかった場合には供給過多でさらなる下落を招く恐れがある。東京電力福島第一原発事故発生以降で最も価格が下がった二〇一四(平成二十六)年産米を下回る懸念もあるという。
こうした状況を踏まえ、福島県とJAは「作付転換に伴う国や県などの補助金が上乗せされる飼料用米は市場の動きに左右されず、主食用米よりも安定した収入が得られる」との利点を強調。福島県内の生産者に対し、営農計画書の提出期限となる六月末までに飼料用米へ転換するよう働き掛けている。