新型コロナのワクチン2回接種 70%以上は8市町村のみ 福島県内 福島民報社調査
新型コロナウイルスワクチンについて、福島民報社は県内59市町村を対象にアンケートを実施した。人口の一定数以上が免疫を持つことで流行を防ぐことができる「集団免疫」の獲得に必要とされる7割以上の接種率に達したのは8市町村にとどまった。都市部ではクラスター(感染者集団)が発生するなど感染拡大が顕著だが、相馬、南相馬両市を除き市の接種率は3割から4割程度だった。町村に比べると都市部ほどワクチンの供給不足の影響を大きく受けている現状が浮き彫りになった。
各市町村の10日午後5時現在の新型コロナワクチンの接種状況(速報値)では、12歳以上の全住民に対する接種率が7割以上となった8市町村のうち、市は相馬市のみだった。46町村のうち18町村で接種率が5割以上となるなど、町村で比較的接種が進んでいる状況にある。
県内13市で最も接種率の高い相馬市は、地元医師会と連携した独自の集団接種を進めている。市が希望者を事前に把握した上で地区ごとに日時を指定する手法で、ワクチンの効率的な活用につながっているとみられる。
全国的なワクチンの供給不足で、各市町村の希望する量が届かない状況が続いている。国から配分されるワクチンに限りがあるため、接種対象者の多い都市部ほど影響は大きく、接種ペースを上げられないのが現状だ。
福島市は接種完了目標を11月末に設定する。ただ、目標達成には希望量のワクチンが必要とし、配分量と配分時期の提示と早期配分を国に求めている。
東京電力福島第一原発事故に伴い大部分が避難区域となっている大熊町は、町外避難者が多いために接種完了を見通せないとする。町民の避難先での十分な接種体制の確保を望んでいる。
県は今後、接種が比較的進んでいない市町村に対し、市町村の意向を確認した上で配分量を増やす方針。県の裁量でワクチンを振り分けられる調整枠などを活用する。県の担当者は「引き続き市町村が希望する量が配分されるよう国に求めていく」としている。
県は福島医大と連携して市町村に医師を派遣するなど、円滑なワクチン接種に向けて医療従事者の確保にも努める。