続く避難所生活 暮らしの再建めど立たず 福島県沖地震から1週間

 

避難所のストーブで暖を取る菅野さん・相馬市

 

2022/03/24 09:37現在

 

 福島県沖を震源とする最大震度6強の地震から23日で1週間となり、県内の家屋被害の全容把握が進まずに具体的な支援策が見えない中、多くの県民が生活再建のめどを立てられずにいる。県によると、23日午前11時現在で51世帯、109人が避難所に身を寄せ、親族らの家を頼って避難している人も多い。仮住まいの確保も見通しが立たず、被災者は「いつになれば安心して暮らせるのか」と不安を募らせている。

 「いつまでこの状況が続くのか」―。相馬市のスポーツアリーナそうまに避難する市内の主婦菅野由紀子さん(70)からため息が漏れた。17日から夫、長男と避難所で過ごしている。足腰が悪く、車椅子は手放せない。頻繁に外出もできず、気持ちもふさぎ気味だ。

 地震で自宅は激しく損傷し、壁が崩れ、割れた窓ガラスも散乱した。建て直しが必要とみられるが、この先、住まいをどうしたらいいのか見当も付かない。「今は多くの方の支援で生活できているが、不安は尽きない」と胸の内を吐露する。

 同施設では、県内最多の27世帯、57人が避難生活を送っている。昨年2月の本県沖地震では、発生から1週間後には避難所としての役目を終えていた。今回は詳細な被害状況の把握が思うように進まず、避難所運営は長引く様相だ。

 災害救助法に基づく応急仮設住宅は、被災者の仮住まいとして自治体が無償提供する。ただし、家屋倒壊の程度によって供給対象となるかが判断される。市建築課の担当者は「被災状況がはっきりしない段階では仮設住宅の必要性を判断できない」と頭を悩ませる。

 慣れない暮らしが長引けば、心身の負担となる。市内の主婦新井真樹子さん(46)は、自宅が大きな被害を受けた伯父の世話をするため夫、子ども4人と避難所生活を選んだ。体が不自由な上、避難生活で行動が制限される伯父の身を案じ、もどかしさが募る。

 福島市では2カ所の避難所に4世帯、13人が暮らしている。市は市営住宅を紹介するなどして、生活再建までの暮らしをサポートする。赤石克危機管理監(56)は「一日も早く元の生活に戻れるよう支援したい」としている。

 被災地では、家屋の復旧を後押しするボランティアの確保が課題となっている。震度6強だった南相馬市の災害ボランティアセンターを運営する市社会福祉協議会によると、22、23の両日の参加者は、各3人にとどまった。

 ボランティアは高齢者、障害者ら要支援者宅の片付け、災害廃棄物の搬出などを担う。これまでに約50件の作業依頼が寄せられたが、人員不足から被害状況の調査などに時間を要している。損壊した屋根をブルーシートで覆う作業が全体の4~5割を占め、経験者の確保も急務だ。

 コロナ禍などを理由に当初は市内在住者に限定していた募集対象を、県内在住者に拡大した。市社協地域福祉課長の佐藤清彦さん(49)は「(多くの人が参加しやすい)週末が勝負」として、県内各地から来てもらえるように、県社会福祉協議会などと連携を強めたい考えだ。

 国見町でもボランティアの担い手を求めている。同町藤田の無職男性(54)は自宅の風呂場の壁が剥がれたり、家財が散乱したりした。町災害ボランティアセンターに依頼すると、1、2日は待つと伝えられた。早期復旧に向けて「支援の輪が広がってほしい」と願っている。

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