いわきFCが福島Uに1―0で勝利 サッカーJ3 福島で福島ダービー

 

【福島ユナイテッドFC―いわきFC】大観衆が見守る中、後半34分にいわきFCのFW有田選手(中央)が頭で先制点を決める

 

2022/05/05 12:30

 

【福島ユナイテッドFC―いわきFC】後半34分、いわきFCのFW有田(右から3人目)が先制点を決め、歓喜する選手

 

【福島ユナイテッドFC―いわきFC】前半、いわきFCのMF宮本(中央)がボールをキープする

 

【福島ユナイテッドFC―いわきFC】前半、福島UのDF河西(中央)が頭でボールをクリアする。右はDF雪江

 

 明治安田生命サッカーJ3の福島ユナイテッドFC(福島U)といわきFCの対戦「福島ダービー」は4日、福島市のとうほう・みんなのスタジアム(あづま陸上競技場)で行われ、いわきFCが1―0で勝利した。いわきFCは暫定首位に立った。福島Uのホーム戦では過去最多となる4501人が来場。県内チーム同士が初めてJリーグの舞台で戦う歴史的な一戦を見守った。

 前半はいわきがロングボールなどでボールを前線に送り好機をつくった。MF宮本英治選手(23)=JFAアカデミー福島出身=らがシュートを放つが、福島Uは元日本代表のGK山本海人選手(36)が好セーブを連発しゴールを守った。福島UはFW高橋潤哉選手(24)にボールを集めたが得点を奪えず、0―0で前半を終えた。

 後半は両チームが堅い守りを見せ、膠着(こうちゃく)状態が続いた。34分、いわきは途中出場のFW有田稜選手(22)がコーナーキックからヘディングでゴールを決め先制した。福島Uはサイドを使い、最後まで攻める姿勢を貫いたが及ばなかった。

 福島Uを運営するAC福島ユナイテッドの鈴木勇人社長は「多くの人に来場してもらい、サッカーの面白さを分かってもらえたと思う。みんなが笑顔だったのが印象的だ。今後も地域のために戦う」と感謝した。

 いわきを運営するいわきスポーツクラブの大倉智社長は「勝敗よりも福島の歴史の一ページを作ることができたのが感慨深い。これからのダービーはサポーターの手でつくられていくだろう」と展望を語った。

 

いわき 1(0―0)0 福島U

     (1―0)

▽得点者【い】有田(後34分)

▽観衆 4501人

 

■いわき劇的ヘッド FW有田が決勝点 途中出場で結果

 互いのプライドを懸けた一戦を制したいわき。試合終了のホイッスルの音が鳴ると、選手はハイタッチし抱き合って喜びを分かち合った。勝利を呼び込むヘディングシュートを決めたFW有田稜は「楽しみにしていた福島ダービーで、声援が後押ししてくれた」とサポーターに感謝した。

 立ち上がりからパスをつないでゴールを狙う福島Uに対し、押し込まれる展開が続いた。前半は守備陣が体を張って攻撃を防ぎ、スコアレスで折り返した。ベンチスタートだった有田は「自分のプレーで勢いづける」と燃えていた。

 後半、有田を含む4人が交代でピッチに立つと、前線からプレスをかけた。徐々に主導権を握り始めると、34分に主将のMF山下優人のコーナーキックを有田が頭で合わせてネットを揺らした。勢いを増す福島Uの攻撃も持ち前の運動量ではねかえした。

 第8節を終え、得点が13、失点が5と攻守で安定している。8日の天皇杯県代表を懸けた県選手権大会の決勝に向け、有田は「一戦一戦全力で戦う気持ちは変わらない」と気を引き締めた。

 

■闘志前面に攻守で貢献 いわきのMF宮本

 いわきのMF宮本英治(JFAアカデミー福島出身)は「先輩に挑むつもりで戦った」と振り返った。福島UのMF諸岡裕人は国士舘大時代の先輩。大学時代の諸岡のプレーの印象を思い浮かべながら、攻撃では素早くパスをつなぐことを心がけたという。守備では、相手の攻撃を何度もはね返し、勝利につなげた。「自分の持ち味を出すことができた」と充実感を漂わせた。

 

■福島U今季初黒星 天皇杯県予選決勝雪辱誓う

 夢の舞台で相まみえたライバルとの一戦。福島Uの守備陣は、GK山本海人のパンチングなど堅守を見せたが、後半に一瞬の隙を突かれた。DF雪江悠人は「相手のリズムに合わせず、自分たちが流れを断ち切らなければいけなかった」と反省の言葉を口にした。

 後半34分のコーナーキック。ゴール前の混戦の中、入り込んできた、いわきのFW有田稜に頭で合わされた。残り少ない時間での失点に、福島Uのサポーターにはため息が広がった。最後まで力を振り絞ったが、あと一歩及ばなかった。

 ただ、今季の失点はいわき戦を含めて3と、J3の全18チームの中で最少を誇る。攻撃陣からは「守備が失点を抑えてくれているからこそ、積極的に攻められる」と信頼も厚い。DF堂鼻起暉は「攻撃への参加も意識し戦っていきたい」とさらなる成長を目指す。

 8日には天皇杯の県代表を懸け県選手権大会の決勝でいわきと戦う。「失点を0に抑え、次こそ必ず勝つ」。雪江、DF河西真ら守備陣は、リベンジマッチでの勝利を誓った。

 

■シュート3本実らず 福島UのFW高橋

 今季好調を維持している福島UのFW高橋潤哉はチーム最多の3本のシュートを放ったが、90分間で相手のゴールを割ることはできなかった。前半25分には左サイドからのクロスを頭で合わせたが決めきることができず、決定機を逃して天を仰いだ。左手に包帯を巻いて出場し、強い思いを持って「福島ダービー」に臨んだが、勝利には届かなかった。

 

■とうスタ照明点灯 大規模改修後、公式戦で初

 4日午後5時ごろ、大規模改修後のとうスタの公式戦で初めて照明が点灯した。

 照明はJリーグのスタジアム基準を満たす照度が維持できるよう県が整備した。天然芝は張り替えられ、年間を通してピッチの状態が高品質なまま維持されるようになった。

 J2ライセンスの交付基準を満たすため、福島Uを運営するAC福島ユナイテッドなどがドーピング検査室や審判員用の更衣室なども施設内に新たに設けた。

 

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