震災被災地に巨大壁画アート展示 福島県浪江町
お披露目されたアートの前で記念撮影する吉田町長(前列左から4人目)、高橋代表理事(前列右)ら。アートは左からなみえの記憶、なみえの未来
2022/05/11 09:45
福島県浪江町の過去と未来をつなぐ巨大壁画アートを町中に展示する取り組みが10日、始まった。「なみえアートプロジェクト」と題し、NoMAラボ(本部・南相馬市原町区)が企画。東日本大震災、東京電力福島第一原発事故で今も多くの住民が避難する中、町民が受け継ぎたい町の思い出と、復興を遂げて実現したい町の姿を描いた作品を設置し、記憶を紡いで新たなまちづくりに生かす。
アートのテーマは町民約20人が昨年10月に集まり、意見を出し合って「なみえの記憶」「なみえの未来」に決めた。知的障害者の作品を発表している岩手県の「ヘラルボニー」に所属するアーティストが2種類を制作した。
なみえの記憶は町の伝統行事「十日市」をテーマに、屋台が並ぶ様子の一部を切り取って描いた。京都府を拠点に活動する日吉雅治さんが独特の視点で表現した。なみえの未来は郡山市出身の青木玲子さんが担当。震災、原発事故後に町内で研究や利用が進む水素エネルギーをイメージし、再生可能エネルギーを活用して自然豊かなまちにしたいという町民の願いを表現した。
アートはともに縦約1・8メートル、横約2・7メートルで、町内権現堂新町の「Bar幸」駐車場に設置された。10日、現地でお披露目式が行われた。吉田数博町長、NoMAラボの高橋大就代表理事、ヘラルボニーの松田文登副社長らがあいさつした。
アートは順次増やして町内各地に設置する。高橋代表理事は「多くの人が浪江に足を運び、さまざまな地区を見てもらいたい。住民の思いがアートという形になって本当に良かった」と述べた。