営農再開や交流後押し 福島県川俣町の大内さんと宮地さん、山木屋に「ばちぎ農場」開設
大学生と野菜を収穫する(左から)宮地さんと大内さん
2022/08/30 21:08
福島県川俣町の農業大内国広さん(67)と元町職員宮地勝志さん(63)=名古屋市出身=は、東京電力福島第一原発事故で避難区域が設定された町内山木屋地区に「ばちぎ農場」を開いた。野菜約50種類を育てており、来季の本格出荷を目指す。「営農再開や交流人口の拡大を後押しする場所にしたい」と意気込んでいる。
農場名は地名の八木(ばちぎ)から付けた。カボチャやトウモロコシなどの伝統野菜約20種、カリフラワーやバジルなどの西洋野菜約30種を栽培している。標高約550メートルの冷涼な気候と昼夜の寒暖差を生かし、甘みの強い高品質な農産物が収穫できるという。
宮地さんは原発事故発生後、愛知県日進市から川俣町に応援派遣された。日進市に復帰後も復興に携わりたいとの思いが消えずに退職し、2014(平成26)年に町職員となった。山木屋から町内に避難している大内さんは、親交のあった宮地さんから農場の構想を聞き、自身の畑での営農再開を決めた。
30日には、原発事故発生後から山木屋の研究を続けている愛知学院大(愛知県)の学生らが訪れ、収穫を体験した。大内さんと宮地さんは「多くの人に山木屋の魅力を知ってもらい、移住につながればうれしい」と話した。