海の安全守り60年 福島県いわき 県内唯一のいわき東署水上派出所 犯罪予防や人命救助
福島県内の海上を守っていくと意気込む左から古関署長、関根巡査長、遠藤機関長、菜花副機関長、橋本航海士
2022/10/05 21:19
いわき東署水上派出所が福島県いわき市の小名浜港に設置され、今年7月で60年を迎えた。関係者は福島県沖の安全を守る誓いを新たにしている。
同派出所は県内唯一の水上派出所で、警備艇「おなはま(重さ20トン、全長18・20メートル、巡航速度32ノット・時速約59キロ)」の活動拠点となっている。福島県沿岸の約150キロ、沖合20海里(約37キロ)内を警戒警らし、犯罪の予防や検挙、水域における不審船などの発見、人命救助などの役割を担っている。
おなはまの遠藤祥三(よしみ)機関長(52)=小名浜水産高(現小名浜海星高)卒=は警備艇に携わり31年目を迎えた。2011(平成23)年の東日本大震災時は小名浜港で警備艇の設備点検、修理を行っていた。発生後、すぐ出港準備し沖に出た。普段は聞かない音が船の振動を通して伝わってきたという。直接的な被害はなく、沖合で捜索活動などを行った。「夜になると真っ暗で漂流物が見えない。人がいるかもしれないので、慎重に航行しながら声をかけ続けた」と当時を振り返る。
震災を経験し、安全への意識もさらに高くなった。現在は同署の菜花禎昭(よしはる)副機関長(33)、橋本隆志航海士(28)、関根寛史巡査長(34)とともに警備に当たる。遠藤機関長は「人のため地域のためと業務に従事している頼もしい仲間だ」と話す。同署の古関隆一署長も「事件、事故が減るように連携していきたい」と気を引き締めている。
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現在、就航しているおなはまは11月29日で配備から20年を迎える3代目警備艇。初代の「てるしま」は1963(昭和38)年1月から、いわき市沿岸を管轄した。2代目の「おなはま」は1980年3月に配備され、巡航速度は17ノット。3代目は2代目の倍近くの速度が出る。