自動車用バイオエタノール燃料の研究施設建設 福島県大熊 次世代グリーンCO2燃料技術研究組合
協定書を手にする吉田町長(左)、中田理事長
2022/10/26 00:22
トヨタ自動車やENEOS(エネオス)、スズキなど6社でつくる「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」は、福島県大熊町の大熊西工業団地に自動車用バイオエタノール燃料の研究施設を建設する。脱炭素に効果があるとされる燃料の製造技術などを探り、カーボンニュートラルの実現につなげる。2024(令和6)年10月の操業開始を目指す。25日、組合と町が施設立地の基本協定を結んだ。
バイオエタノール燃料は植物などが原料。燃やすと二酸化炭素(CO2)が出るが、植物の光合成でCO2を吸収するため、脱炭素に役立つという。施設ではイネ科の植物「ソルガム」や廃棄された食品を原料にしたバイオエタノール燃料の製造と実用化を研究する。製造過程で出るCO2を合成燃料として活用する方法も検討する。
敷地面積は約5万6千平方メートルで来年6月に着工する見込み。総事業費は約50億円で、国の自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金を活用する。40人程度の新規雇用を予定している。
町役場本庁舎で協定締結式が行われ、吉田淳町長、中田浩一理事長(トヨタCN開発部長)が協定書に署名した。吉田町長は「組合と連携を深め、まちの未来を築いていきたい」と期待した。中田理事長は「移住する人の働く場の創出にも協力していきたい」と述べた。
町は町内2カ所に工業団地を整備しており、立地協定の締結は今回が初めて。町はCO2排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボン」の達成を、政府目標より10年早い2040年に設定している。