【いわきFC J2での挑戦】(上)「アウェー客」増 期待 経済活性起爆剤に

 

いわきFCのJ2昇格を祝う記念セールが行われたいわき市のマルトSC湯本店

 

2022/11/08 09:40

 

 サッカーのJ参入1年目でJ2昇格とJ3優勝を決めたいわきFC。地元福島県いわき市は喜びに沸き、昇格による経済効果への期待も高まっている。ただ、J2基準を満たすスタジアムが市内にはないなど課題もある。かつて炭鉱業が栄えた同市には関係者が家族のように結束する「一山一家」の精神が根付く。地域とチームもJ2の舞台に向けて一体となれるのか。チームを取り巻く環境の今を追う。

 

 いわきFCの快挙から一夜明けた7日、家電量販店のコジマは家電製品の割引を始めた。いわき市の「コジマ×ビックカメラいわき店」では昇格と優勝を祝うポップがお目見え。鈴木和彦店長代理(39)は「多くの人にいわきFCを知ってもらい、地域が盛り上がればうれしい」と喜ぶ。

 いわき市に本部があるスーパーマーケットのマルトはポイント3倍のキャンペーンを展開した。いわき市役所本庁舎の窓には7日夜、「J2!」の文字が浮かび上がった。地元を中心に昇格・優勝の祝福ムードに包まれた。

 地元はいわきFCの活躍とともに、J2昇格に伴う地域への経済波及効果も期待する。今季のJ3は18チームだったが、J2は22チームで戦う。年間の試合数は34試合から42試合に増える。多くのアウェーサポーターがいわき市に観戦に訪れるとみられる。

 全国に同様の例がある。鹿児島ユナイテッドFCは2019年シーズンにJ3からJ2に昇格した。鹿児島の担当者によると、昇格1年目のホーム戦での経済効果は約88億2600万円。J3だった2018(平成30)年の37億500万円から2倍以上となった。年間のホーム戦総観客数は約6万人から約12万人に倍増した。

 来季のJ2にはJ1経験のあるベガルタ仙台とモンテディオ山形のほか、ブラウブリッツ秋田が所属する。いわきFCを含めた計4チームでの東北ダービーが実現する。

 ベガルタ仙台の広報担当者によると、今季の東北ダービーでは平均して2500~3000人の仙台サポーターがアウェー戦に訪れたという。東北地方のサポーターが距離的に近い各地を巡ることで、一層の経済効果が見込まれる。

 行政も経済界もいわきFCの活躍をきっかけに地域活性化を狙う。いわき商工会議所の小野栄重会頭は「観光資源を磨き、市内に宿泊してもらえるような取り組みが重要だ」と指摘。いわき市観光振興課は「アウェー戦をきっかけに現地の観光などを楽しんでもらいたい。交流人口の拡大を目指す」としている。

 

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