いわきFC快進撃を来季もアシスト 福島県いわき市の記念パレードで誓い新た

 

市民の声援に手を振って応えながらパレードする渡辺さん(右)

 

2022/12/05 09:48

 

いわきFCのパレードに拍手する会田さん

 

 サッカーで被災地を盛り上げよう-。サッカーJ3で優勝し、J2昇格を決めたいわきFCの快進撃の陰には、古里復興への熱い思いを抱く福島県いわき市出身者の存在がある。昨季からトップチームコーチを務める元Jリーガー渡辺匠さん(40)は、村主博正監督の右腕として若い選手の成長を支えている。一方、「コールリーダー」として観客席でサポーターを指揮する会田陸人さん(19)は、応援でチームを鼓舞する。J2に舞台を移す来季も、チームとサポーターが一体となった戦いを誓う。

 

■若手支える兄貴分 トップチームコーチ 渡辺匠さん 

 4日にいわき駅前大通りで行われたいわきFCのJ2昇格記念パレード。渡辺さんは久しぶりに会う恩師や知人らに手を振って歩いた。「中学卒業後、プロを目指して古里を飛び出した自分が、今こうして地元のプロチームに関わり、J3で優勝できるなんて夢のよう。いわきでこんな景色が見られるとは…」と感慨に浸った。

 いわき市出身。小名浜一中卒業後、強豪桐光学園(神奈川県)に進んだ。2000(平成12)年にJ1川崎に入団し、J2熊本などを経て2016年から福島ユナイテッドFC(福島U)でプレーし、2017年に引退した。いわきFCには2018年に加入し、強化・スカウト本部スタッフなどを経て2021(令和3)年にトップチームコーチに就いた。

 村主博正監督が掲げる「90分間止まらない、倒れないサッカー」を体現すべく、若手選手を鍛え上げてきた。「選手ファースト」の姿勢を貫き、壁にぶつかる選手の悩みに親身になって耳を傾けるなど、兄貴分として慕われている。「正直、選手の力を伸ばし切れなかった部分はある。J2へ上がる来季はさらに個々のレベルアップが必要」と気を引き締める。

 現役時代、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生後にいわき市をたびたび訪れ、子どもたちとの交流を通じて被災地支援に取り組んだ。復興を願う気持ちは今も変わらない。「1人でできることには限界があるが、チームなら大きな力になれる」。被災地とサポーターの期待を背負い、来季もチームを支える。

 

■選手の応援歌作成へ コールリーダー 会田陸人さん

 「新たな応援歌を作り、選手を後押しする」。いわきFCの応援を統率するコールリーダー会田さん=いわき市在住、会社員=は、パレードで喜びに浸る選手に拍手を送り、来季への思いを強くした。

 今季からコールリーダーを務めている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ほとんどの試合で声出し応援ができなかった。10月下旬に声援が可能になり、来季はチャントと呼ばれる応援歌で声を張り上げ、選手とともに古里復興のために戦うつもりだ。

 既存曲に選手名などオリジナル歌詞を付けて仕上げる。数多くの選手が入れ替わる見込みのため、多ければ30曲を手がける。来年1月に完成させ、インターネット上で公開する。スマートフォンに各選手の特徴を捉えた歌詞の素案をぎっしりメモしているという。

 「試合が終わるまで選手が全力プレーできるような力強いチャントを目指す」。勇壮な応援歌が響く中、J2の舞台で躍動する選手の姿を思い浮かべた。

 

関連記事

ページ上部へ戻る