「町民の期待に応えたい」 地域の健康増進へ決意 双葉町診療所勤務の医師草野さん

 

双葉町民らの健康面を支える決意を示す草野さん

 

2023/02/02 09:10

 

 「住民の安心につなげる」。福島県双葉町の双葉町診療所に勤務する医師の草野良郎さん(67)は開所式に臨み、町民らの健康面を支えていく決意を示した。

 郡山市出身。東日本大震災発生前まで町内の双葉厚生病院に勤務していた。東京電力福島第1原発事故により、入院患者ら約60人と自衛隊のヘリで二本松市の体育館に避難した。医療機器もほとんどない中、人工呼吸器をつけた患者らの診察を担当。「野戦病院のようだった」と緊迫した状況を振り返る。22年間勤務した病院は休止を余儀なくされた。

 自らも現在は郡山市に避難し、白河厚生病院の常勤医師として働く。「いつかは大好きな双葉に戻りたい」との思いを抱き続けた。4年ほど前にJA福島厚生連を通し、町から双葉町診療所の医師を打診された。「うれしかった」と快く引き受けた。

 町内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)にある自宅を修繕し、準備を進めた。週に1度、避難先から通って寝泊まりし、診察を担当する。昨年8月に拠点内の避難指示が解除され、町には現在、約60人が暮らす。高齢者が多く、長期化する避難生活から「生活習慣病や糖尿病のリスクが高いのでは」と懸念する。町民らの健康増進の助けになりたい一心で働く覚悟だ。

 「震災前の病院のように気軽に利用してほしい。町民の期待にしっかりと応えていく」と意気込む。

 

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