福島県浪江町 米・ランカスター市 ハワイ郡 エフレイと情報交流推進 共同研究見据える 3地域が合意 水素教育の成果共有

 

覚書を結んだ(左から)パリス市長、吉田町長、ロス郡長

 

2023/05/07 09:00

 

【米ランカスターで川俣支局長兼南相馬支社・服部鷹彦】水素エネルギー分野で連携する福島県浪江町と米国のカリフォルニア州ランカスター市、ハワイ州ハワイ郡の日米3地域は、浪江町に立地する福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)との共同研究・開発を見据えた情報交流を進める。水素利活用の重要性を若年層に伝える教育活動にも力を入れる。各首長が5月5日午後(日本時間6日朝)、共通の取り組み事項に合意した。

 

 水素社会実現へ向け、3地域が世界を先導できるよう、3地域の首長や担当者が3日から5日まで、議論を重ねてきた。

 エフレイは2029年度までの重点研究テーマの一つに、水素を含むエネルギーを掲げている。3都市の水素利活用の最終目標や課題を共有し、解決策を探る。今後、エフレイ側と詳細を詰める。

 教育活動の推進には、浪江町が「なみえ創成小」で取り組む特別授業の成果などを共有する。他の2地域でも将来を担う子どもたちに水素の安全性や重要性などを学んでもらう機会を創出する。

 「コミュニケーションの促進」を目指し、10月に郡山市で開催予定の「ふくしま再生可能エネルギー産業フェア(リーフふくしま)」に共同出展する方針も確認した。フェアは東北最大規模で例年、国内外の約200企業・団体が出展している。3地域の取り組みを発信する好機だとして浪江町が提案し、了承を得た。会期中に各企業と商談し、ビジネスマッチングを目指す。

 3首長は米国滞在中の1日、水素エネルギーの社会実装を目指す新たな連携組織「パシフィック・ハイドロジェン・アライアンス(通称・PHA=太平洋水素共同体)」の設立を表明している。5日午前(日本時間6日未明)にランカスター市役所で覚書の締結式を行い、PHAの設立を確認した。各地域での調整を経て、年内にも正式に設立する見通し。

 吉田栄光町長は「社会、世界、未来のために持続可能な水素社会を実現させる」と決意を述べた。ランカスター市のレックス・パリス市長は「住みやすい地球をつくるため、何ができるかを考えてみてほしい」と呼びかけ、ハワイ郡のミッチ・ロス郡長は「水素はクリーンで安全だ。持続可能な古里を目指していく」とあいさつした。

 

■吉田町長、7日に帰国

 吉田町長は6日午後にロサンゼルス国際空港を出発し、日本時間7日午後に成田空港に到着する予定。

 

◇3地域が合意した共通の取り組み事項◇

・子どもたちへの水素教育の充実

・コミュニケーションの促進(リーフ福島へ の共同出展、エフレイとの情報交流など)

・職業訓練、産業人材の育成

・市場開拓(供給網の整備、需要の掘り起こ しなど)

・一般的に許容される水素価格の追求

・補助金の確保、民間投資の拡大

 

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