新聞スクラップが日々の生きがい 86歳の元JR東日本社員、久田芳明さん 福島県広野町
作成したスクラップブックに囲まれ笑顔を見せる久田さん
2023/06/18 17:30
新聞が生きがい―。福島県広野町折木の元JR東日本社員の久田芳明さん(88)は毎朝、福島民報を愛読する。気になる記事を切り取り、ノートに貼り付ける。日課であり、趣味になっているという。「これからも新聞を楽しみに過ごす」。新聞の切り抜きに囲まれ、笑みを見せる。
いわき市出身で、1957(昭和32)年から1996(平成8)年まで常磐線の各駅で働いた。東京電力福島第1原発事故により、広野町からいわき市に一時避難した。
広野町に帰還してからは、毎朝午前3時に起床。懐中電灯を持ち、JR広野駅まで片道2キロを歩く。新聞を購読し、自宅に戻って1時間ほどかけて記事を切り取り、ノートに貼る。どんなに雨が降っても、風が強くても欠かさない。
スクラップは震災で常磐線が不通になったのがきっかけに始めた。長年勤めた常磐線への思い入れが強く、復旧工事や訓練運転、駅の全面改修、運転再開など、鉄道にかかわる記事を集めた。
じっくり新聞を読むと、地元の広野町、双葉郡の復興に向けた記事、本県の豊かな自然を紹介する写真にも興味が広がった。ジャンルごとに分類したノートは「原発」「スポーツ」「新型コロナウイルス」「植物」「知財」など30種類を超える。
86歳の興味はとどまることを知らない。