古里の未来、若者がつくる 福島県双葉町出身の吉田華さん「頑張る姿を理解してほしい」

 

双葉町の成人式に出席した吉田さん。古里の復興への思いを新たにした

 

2023/08/31 10:06

 

 福島県双葉町出身の獨協大経済学部3年、吉田華さん(20)=東京都=は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被害を受けた古里の現状と課題を探り、大学の仲間と共に未来を展望している。「復興に向かって頑張る姿を多くの人に理解してほしい」と願う。

 吉田さんは、双葉北小2年の時に震災と原発事故に遭った。父が東京都内に単身赴任していたため、母と祖父、妹2人と一緒に父の元に避難した。その後はずっと都内で暮らしている。

 高校3年の時、震災後初めて双葉町に入ったことが古里に目を向けるきっかけとなった。海岸そばの自宅は津波に流され残っていなかったが、景色に懐かしさを感じた。大学進学後、福島について学ぶゼミがあると知り、迷わず選んだ。

 復興の進み具合や抱える課題を詳しく調べている。成果を論文「双葉町の再生まちづくりに必要な交流の場・コミュニティの創出」にまとめ、学内のコンクールで優秀賞を受けた。震災関係のシンポジウムでパネリストを務めるなど、発信にも力を入れる。

 今月上旬、ゼミの仲間が双葉町などを巡った。自身は都合で参加できなかったが、視察先の選定などを担当した。仲間からは「実際に被災地を見ることができてよかった」との声が寄せられた。

 「若い世代がどんどん双葉に戻ってくるようになればいい」。今年1月、町の成人式に出席し、同級生と再会して強く思った。避難指示が解除されたのは町の一部のみで復興は緒に就いたばかり。論文の一節に「町のこれからについて明るい対話をしたい」とつづった。前向きな議論にこそヒントがあると信じる。「新しいものが双葉にたくさんでき、イベントなどもにぎやかに繰り広げられたらうれしい」と話している。

 

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