福島県いわき市の大雨 児童の学び地域で支える 宮小、内郷二中で再開 “後輩”に寄り添う

 

内郷二中の校舎で授業を受ける宮小の1年生=19日午前8時40分ごろ

 

2023/09/20 09:26

 

 台風13号による大雨で校舎が床上浸水し休校していた、福島県いわき市内郷宮町の宮小は19日、近くの内郷二中の教室を間借りして11日ぶりに授業を再開した。級友や教職員らとの再会を喜ぶ児童の笑顔が教室いっぱいに広がった。宮小は内郷二中の学区内にあるため、日頃から両校の結び付きは強い。内郷二中も体育館が被害を受けたが、生徒は児童を歓迎し、地域住民も児童の学びを温かく見守る。

 

 宮小の児童約60人は19日朝、班を編成したり保護者に車で送られたりして、宮小の校舎から約800メートル離れた内郷二中に登校した。待ち構えた教職員と元気にあいさつを交わし、緊張の面持ちで校舎に入った。

 朝のホームルームの時間、宮小1年のクラスでは担任の島倉美登里教諭が「みんなに会えてうれしい」と、児童の元気な姿に目を細めた。前原壮汰さん(6)は「久しぶりに友だちに会えてよかった。中学校の校舎はとても大きい」と声を弾ませた。

 内郷二中の体育教員が宮小で児童に陸上競技を指導するなど、普段から交流がある。内郷二中の体育館も大雨で浸水し使えなくなったが、生徒は“後輩たち”が気持ちよく学校生活を送れるよう、受け入れが決まった後の14日、空き教室をきれいにするなどして準備を整えた。1年の女子生徒は「かわいい小学生の面倒を見てあげたい」と児童の気持ちに寄り添った。

 内郷二中の鈴木芳美校長(58)は「児童はまだ緊張しているようだ。生徒と児童の交流の機会を考えたい」と環境が変わった児童を思いやった。

 内郷宮町地区にはかつて炭鉱があった。明治から昭和30年代にかけて急速に人口が増えた。内郷宮町在住で宮3区長の奥山昌志さん(78)は毎年10月に宮小で授業の講師を務め、児童に常磐炭鉱の歴史や石炭採掘で使った道具などを説明してきた。「地区内には今も、困った時は互いに支え合う『一山一家』の精神が残っている。一日も早く元の校舎で授業が再開できるよう願っている」と語る。

 

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