30日に避難指示解除 福島県富岡町の点的、線的復興拠点 県内6町村の復興拠点避難解除完了へ

 

2023/11/07 10:22

 

 東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県富岡町の小良ケ浜、深谷両地区に設けた集会所や共同墓地、それらにつながる計7・2キロの道路の点的、線的な特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示は30日午前9時に解除される。政府、県、町の3者が6日、町文化交流センター「学びの森」で協議し合意した。県内6町村に設定された復興拠点の避難解除が完了する。

 

 3者の協議は非公開で行われた。山本育男町長が解除日を提案し、原子力災害現地対策本部長の岩田和親経産副大臣、鈴木正晃副知事が同意した。今後、政府原子力災害対策本部が正式決定する。

 両地区の点的、線的な復興拠点は【地図】の通り。墓地や集会所など6つの拠点を点拠点、点拠点へのアクセス道路を線拠点とし、両拠点と、その外縁の約43ヘクタールで除染を進めてきた。

 立ち入り規制のバリケードの位置を変更するほか、両地区につながる道路の入り口付近3カ所に監視員を配置するなど防犯対策を強化する。

 10月に開かれた町議会全員協議会では、町除染検証委員会から「線量の低減を確認した」との報告があった。町議からは、除染が不十分との指摘があり、追加除染を条件に議会として容認した。

 山本町長は協議後の記者会見で「除染を進めていけば放射線量が今月末までに低減し、解除に値すると考えた」と解除日を30日に決めた理由を説明した。解除で人の流れができるとし、「小良ケ浜、深谷両地区全域の再生と復興に向けた突破口としていきたい」と強調した。

 富岡町の復興拠点を巡っては、夜の森地区を中心とした390ヘクタールが4月1日に解除され、住民帰還が始まっている。

 

■「特定帰還居住区域」年内計画策定考え 町長

 山本育男町長は住民の帰還に向けた「特定帰還居住区域」の計画について、早ければ年内に策定する考えを示した。

 山本町長は「小良ケ浜、深谷両地区の面的な除染につながる計画とするべく協議を進め、できるだけ早い策定を目指す」とした。政府は住民の帰還意向などを踏まえて生活に必要な範囲を特定帰還居住区域に設定して除染し、避難指示を解除する方針。

 

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