常磐もの仲間入りへ 目指せ第二のメヒカリ 未利用魚アカエイ、ホシザメ…煮付けやフライ商品化続々

 

アカエイの煮付け、ホシザメのフライと南蛮漬けを提供する新谷さん

 

2024/01/23 10:06

 

 福島県いわき市でほとんど消費されなかったアカエイとホシザメを、福島県沖魚介類ブランド「常磐もの」の新名物にする動きが広がっている。市漁協が東京電力福島第1原発事故からの復興に向け未利用魚の活用を打ち出し、飲食店や鮮魚販売店が続々と料理や総菜を商品化している。安く仕入れることができ、ひと工夫の調理で人気メニューになりそうだ。かつて未利用魚だったメヒカリは、今や市を代表する食材に成長しており、関係者は「第二のメヒカリに」と期待している。

アカエイとホシザメは福島県沖などに生息し、底引き網漁や刺し網漁で取れている。ただし、漁業者は「氷よりも安い」と捨てていたという。

 市漁協の2022(令和4)年度の水揚げ量は961・9トンで東日本大震災発生以降、最多を更新した。しかし震災前の約4分の1にとどまっている。底引き漁船は2028年までに水揚げ量を震災前の約6割に戻す計画を掲げており、多くを廃棄していたアカエイとホシザメに注目。地元の仲買人や漁師の協力を仰ぎ、底引き網漁が解禁された昨年9月から水揚げに乗り出した。

 市内四倉町の「食処くさの根」はホシザメの南蛮漬けやフライ、アカエイの煮付けを総菜や定食の一品として販売している。社長の新谷郁子さん(50)は「サメは淡泊な味で酢の物などと合わせやすい。魚が苦手な人でも食べやすい」とPRしている。弾力のあるアカエイの身はしょうゆと相性が良く、じっくり煮ることでこく深い味わいになる。

 鮮魚販売店「おのざき」はアカエイの唐揚げを商品化した。衣をまぶした状態で冷凍している。昨年11月にJRいわき駅前で唐揚げを実証販売したところ、「お肉のようにジューシー」「お酒のつまみに合いそう」と好評だった。スーパーなどを運営しているマルト(いわき市)も県などと連携し、ホシザメの商品化を進めている。

 かつて未利用魚として扱われ、徐々に流通し始めたカナガシラの利用も活発化している。おのざきはカレーの缶詰を開発している。4代目小野崎雄一さん(27)は「海水温の上昇などで水揚げされる魚も変わってきている。未利用魚も無駄にできない」と言葉に力を込める。福島相双復興推進機構(福島相双復興官民合同チーム)は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の「つくる責任つかう責任」などに当たるとして、消費をアピールしている。

 単価が安く、いかに漁業者の収入増につなげるかが今後の課題だ。市漁協によると、昨年9月から12月末までの4カ月でアカエイ約20トン、ホシザメ約10トンが水揚げされたが、取引価格の平均は1キロ当たり数十円だった。

 新妻隆専務理事は「おいしさをPRして新たな食文化として根付かせる。仲買人や鮮魚店と連携し、消費拡大を呼びかける」と話した。

 

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