若武者こけし見て 福島県いわき市の「木地処さとう」3代目佐藤英之さん 国交大臣賞の作品展示
若武者こけしを手にする佐藤さん
2024/02/25 09:24
福島県いわき市の伝統こけし工房「木地処さとう」の3代目佐藤英之さん(46)が制作した「若武者こけし」が、昨年の全日本こけしコンクールで国土交通大臣賞を受けた。受賞作を地元の住民らに見てもらおうと、3月31日まで市内の小川郵便局に展示している。
端午の節句にちなみ、かぶとを身に着けた男児を表現した。胴体に赤い梅の花を描き、桜が材料のかぶとをかぶせて愛らしい姿に仕上げた。内閣総理大臣賞に次ぐ高い評価を得た。
佐藤さんは祖父の代から続く弥治郎系こけし工房の長男として生まれた。高校入学と同時にいわき市平の実家を離れ、大学卒業後は大阪府で営業職の仕事に就いた。自らのルーツを考える中で、こけし職人の道に入ることを決意。2002(平成14)年、実家に戻って修業を始めた。
現在は小川町に移り、ギャラリーを備えた工房で制作に励んでいる。こけし作りは手間や時間を要し、1日に作ることができるのは3本だけ。近年は林業の衰退による材料不足が悩みの種だが、佐藤さんは「一本一本が自分の子どものようで、褒められるとうれしい」とやりがいを語る。
交流サイト(SNS)を通じて海外からの注文が増えている。地元の木材を使ったこけしを作る夢を抱き、「小川町で生まれたこけしを国内外に広めていきたい」と意気込んでいる。