福島県大熊町の歴史を後世に 町教委が民家の古文書を整理 1800点の分析進め年代や中身を記録

 

古文書を分析する(左から)渡部塾長、菅井学芸員、西村教授

 

2025/01/29 16:22

 

「くずし字」を通じて大熊町の歴史や文化が学べる書籍

 

 福島県大熊町教委は28日、町内の多目的倉庫で、東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となっている民家に残されていた古文書などの資料整理に取り組んだ。貴重な資料を整理し、未曽有の災害を経験した地域の歴史の継承と発信につなげる。

 資料が残されていたのは帰還困難区域内の中野家。原発事故に伴う家屋解体前に歴史的資料を救い出す「文化財レスキュー」で古文書などを集め、2020(令和2)年から保全や整理に当たっている。これまでに古文書など約1800点の年代や中身を記録し、目録を作った。

 28日の作業は町教委の菅井優士学芸員、町と資料整理に関する協定を結んでいる国文学研究資料館の西村慎太郎教授、おおくまふるさと塾の渡部正勝塾長らが臨んだ。古文書を一枚一枚分析し、内容を記録した。

 作業は今後も定期的に実施する。町教委はJR大野駅西側に整備する社会教育複合施設で資料の一般公開を検討するなど、有効的な活用法を探っていく。

  ◇    ◇  

 大熊町教委の菅井優士学芸員と国文学研究資料館の西村慎太郎教授、千葉市立郷土博物館市史編さん担当の大関真由美さんは、書籍「古文書解読事始め」を出版した。江戸時代に使われていた「くずし字」を通じて大熊町の歴史や文化が学べる。

 書籍は2部構成で展開。第1部では、くずし字の文法や特徴など基礎知識を説明している。第2部では大熊に残され、くずし字で記されている古文書を掲載。現代語訳を交えて解説されており、町の歴史の一端を感じ取ることができる。

 価格は1320円(税込み)。県内の書店で取り扱っている他、出版元の蕃山房(仙台市)のホームページでも販売している。

 

関連記事

ページ上部へ戻る