福島県関係17選手、成果発揮 東京五輪総括

 

 57年ぶりの自国開催となった東京五輪では、福島県関係の17選手が世界の猛者を相手に鍛錬の成果をぶつけた。自転車の新田祐大(33)=日本競輪選手会、白河高出身=以外は全員が初出場だった。持てる力を堂々と出し切り、日本中を沸かせた真夏の戦いぶりを振り返る。

 福島県勢唯一のメダルはバドミントン混合ダブルスで渡辺勇大(24)・東野有紗(25)組=ともに日本ユニシス、富岡高出身=が手にした「銅」。中高連携でスポーツを強化しようと2006(平成18)年に始まった「双葉地区教育構想」から初の五輪メダリストが誕生した。同種目で日本勢の表彰台も初だった。

 一方、男子シングルスで本命視された桃田賢斗(26)=NTT東日本、富岡高出身=は1次リーグで韓国選手に敗れ、姿を消した。各国のライバルにプレーを研究される中、五輪で勝ち切る難しさを感じさせた。男子ダブルスの遠藤大由(34)・渡辺組(日本ユニシス)は準々決勝で力尽きた。

 金メダルが期待された競泳男子200メートル自由形の松元克央(24)=セントラルスポーツ、福島県いわき市生まれ=は予選17位で、まさかの敗退。同800メートルリレーと男女混合400メートルメドレーリレーでも決勝に進めず、初の大舞台は苦い記憶となった。

 レスリング女子76キロ級の皆川博恵(33)=クリナップ=は3位決定戦で惜しくも敗れ、日本の最重量級で3大会ぶりのメダルを逃した。重量挙げ男子67キロ級の近内三孝(25)=日大職員、田村高出身=はスナッチの135キロを最終3回目で成功させるなど、粘り強い試技で7位入賞。宮田悠佑(30)=和歌山県教育センター学びの丘、安達高出身=が出場したカヌー・スプリント男子カヤックフォア500メートルの日本は、11チームで唯一、準決勝に残れなかった。

 陸上は男子400メートル障害の山内大夢(21)=早大、会津高出身=が同種目の日本勢3人でただ一人、準決勝に進出。同1万メートル決勝で入賞を狙った相沢晃(24)=旭化成、学法石川高出身=は17位、200メートルの山下潤(23)=ANA、福島高出身=は予選敗退で、世界との実力差を肌で感じた。

 2012年ロンドン五輪以来、2大会ぶり出場となった自転車トラック男子の新田はスプリントが予選落ち、ケイリンも準々決勝敗退と不本意な結果に終わった。自転車女子個人ロードレースの金子広美(40)=イナーメ信濃山形、白河二高出身=は他の日本選手をアシストしながら、43位で137キロを完走した。

 団体競技はハンドボールの笠原謙哉(33)=トヨタ車体、聖光学院高出身=が1次リーグの全5試合に先発し、9得点。日本は最終戦でポルトガルを31―30で下し、33年ぶりの勝利を挙げた。

 高倉麻子監督(53)=福島県福島市出身=が率いたサッカー女子「なでしこジャパン」は準々決勝で、準優勝したスウェーデンに1―3で敗れた。遠藤純(21)=日テレ東京V、福島県白河市出身=は全4試合で途中出場、菅沢優衣香(30)=三菱重工浦和、JFAアカデミー福島出身=は2試合に先発した。DF三宅史織(25)=INAC神戸、同=は1試合でベンチ入り、GK平尾知佳(24)=新潟、同=も帯同した。

 五輪選手の輩出は、県内の競技団体が取り組んできた育成・強化の成果でもある。パリ五輪はもう3年後だ。選手にとって東京での経験が、今後の競技や人生の糧となるよう願う。(五輪取材班=本社報道部・村田利文、本社報道部・藁谷隆、本社社会部・小宅祐貴、本社写真報道部・谷口健斗、会津美里支局長・三本杉優人、いわき支社報道部・吉田雄貴)

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