新たな動線 小名浜道路開通(上) 輸送時間短縮に効果 企業誘致促進へ期待 福島県いわき市

 

物流関係者からは、小名浜道路の開通により業務環境の変化が見込まれると期待の声が上がる=いわき市・喜美運送勿来物流センター南台倉庫

 

2025/08/06 10:58

 

 

 福島県いわき市の小名浜港と常磐自動車道を結ぶ自動車専用道路「小名浜道路」(延長8・3キロ)は7日に全線開通する。物流の円滑化や交流人口拡大による観光振興など「まちづくりの起爆剤になる」と期待が高まる。小名浜道路がもたらす効果や今後の展望を探る。

 

 小名浜道路は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興加速を目的とした「ふくしま復興再生道路」として、2012(平成24)年に事業化された。2016年に着工して以来、約9年にわたり整備が進められてきた。常磐道にいわき小名浜インターチェンジ(IC)を設け、接続する。無料区間にいわき泉IC(同市泉町)、いわき添野IC(同市添野町)、いわき山田IC(同市山田町)を新設する。

 これまでは常磐道いわき湯本・勿来両ICから小名浜港までの所要時間はそれぞれ約30分かかっていたが、開通により半分以下の13分程度に短縮される。

 新たな動線は、ドライバーの時間外労働時間の上限が設けられた「2024年問題」に伴う課題解決に一役買うと期待される。小名浜道路の起点となるいわき泉IC近くに本社を構える物流会社・喜[よし]美[み]運送の伊藤啓[ひろ]樹[き]社長(45)は「(時間外労働時間の上限設定で)残業時間が減り、輸送が間に合わずに日延べするケースも出てきている」と現状を明かした上で、「(開通により)輸送時間が短縮されれば、1日当たりの輸送量が増える」と波及効果を見込む。

 同社は、いわき山田IC近くに勿来物流センター南台倉庫(同市南台)などを構えており、IC増加の恩恵も受ける。ドライバーの利便性向上にとどまらず、燃料費の削減、環境負荷の低減にもつながりそうだ。

 アクセスの利便性が高まることは、企業誘致の面でもプラス要素になる。いわき商工会議所の小野栄重会頭(70)は「物流が活発化することにより、産業振興や企業誘致の大きな弾みになる」と新たな“動脈”がもたらす活力に期待を込めた。

 

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