「復興」描いた絵本寄贈へ 避難生活長期化シリアの子どもに 震災から10年NPOチームふくしま
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から十年を機に、福島市のNPO法人チームふくしまはシリア内戦で故郷を追われた難民の子どもたちに福島県の復興の道のりを描いた絵本を届けるプロジェクトを始めた。
二〇一二(平成二十四)年に震災と原発事故の取材で福島を訪れたシリア人ジャーナリストのナジーブ・エルカシュさん(47)から現地の実情を聞いたのがきっかけ。中でも子どもたちは避難生活が長期化する中で「将来の夢はない」と話すなど未来への希望を失いかけているという。
同NPOは震災後に世界各国から寄せられた支援の恩返しの思いを込めて昨秋、子どもたちの支援を決めた。福島県が復興に向けて奮闘する過程を描いた絵本を寄贈し、子どもたちが未来を生きる活力にしてもらうのが狙いだ。
絵本はヒマワリを通じて町の再生に取り組んできた佐久間辰一さん(68)=田村市=をモデルにした「ぼくのひまわりおじさん」。佐久間さんは「福島の復興も道半ばだが、徐々に活気が戻ってきた。未来を信じて生きる大切さを伝えたい」と話している。
第一弾としてシリア北部の都市アレッポにある「サワーイドナこどもセンター」に贈る。八歳から十二歳の子どもたちが通う臨時の教育施設で、絵本は二月上旬に行われる卒業式で渡される。今後、中東地域の難民キャンプにも配布し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で読み聞かせ動画も配信する予定。
半田真仁理事長(43)は「避難生活の苦しみは原発事故とも共通する。絵本で描かれた復興が彼らの希望につながれば」と願っている。