福島県内「GW」静かな幕開け コロナ禍、雨…閑散
ゴールデンウイーク(GW)が始まった二十九日、新型コロナ感染拡大への懸念に加えて降雨も影響し県内観光地は閑散とした静かなスタートとなった。県が県境をまたぐ移動自粛を求める中、ステイホームを決め込む県民も。一方、観光客を迎える関係者はホームページで混雑情報を公開したり、観光客に体調管理シートに記入してもらったりと感染防止対策に知恵を絞る。
いわき市小名浜のアクアマリンふくしまではGWに合わせて二十九日、イベントが始まった。世界最大級のタッチプール「蛇の目ビーチ」も今季のオープンとなった。ただ、悪天候の影響もあり、人影はまばら。来館者数は、緊急事態宣言で臨時休館した昨年を除く例年に比べて三割程度にとどまった。
二人の子どもと訪れた同市の公務員佐藤優樹さん(36)は「今年は市内で過ごそうと思う」と話し、遠出はしないという。近隣の駐車場は県外ナンバーの車が見られたものの、空きスペースが目立った。
郡山市の磐梯熱海温泉にあるホテル華の湯は例年、連休期間中は満室となるが、今年の予約は半分程度だ。東京都などに三度目の緊急事態宣言が出てから、関東圏からの予約はほとんどキャンセルとなった。昨年のこの時期も緊急事態宣言を受けて一時休業し、二年連続で苦しいGWとなった。
菅野豊臣常務(47)は「今年も厳しい状況だが、お客さまに喜んでもらえるよう精いっぱいのおもてなしをするしかない」と語った。
■感染防止に知恵 「万全な対策で迎えたい」 観光地
県内観光地では関係者が感染防止対策に万全を期し、観光客の訪問を心待ちにしている。
会津若松市の鶴ケ城を管理する会津若松観光ビューローはホームページにGW期間中の混雑予想を初めて掲載した。例年、午前十時から午後二時までの間は混雑する傾向にあり、それ以外の時間帯の来場を呼び掛けている。また、これまで天守閣登閣者にのみ検温を実施していたが、大型連休中は対象を本丸広場の入場者全員にまで拡大した。
昨年の大型連休は天守閣を休館していたため、初日の本丸広場入場者数は約五百人だったが、今年は天守閣に入れるとあって約九百人と約二倍に増加。天守閣管理課の神谷英資さん(30)は「心を込めて迎えるので、お客さま自身も感染対策をして来てほしい」と願った。
川俣町にあるかわまたおりもの展示館では二十九日、春季の「かわまたシルクフェスティバル」が二年ぶりに開幕した。五月五日まで。
感染防止策として手指消毒や検温の徹底をはじめ、来場者全員に連絡先、体調などを確認するチェックシートの記入を求めている。感染拡大前は県外事業者にも出展してもらい、県外でも来場を呼び掛けていたが、今回は取りやめた。
主催する県絹人繊織物構造改善工業組合の藤原和一事務局長(67)は「無事に開催にこぎ着けることができた。対策を万全にして来場者を迎えたい」と語った。